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9-3.エピローグ [峠◇第1部]


祭りの日の朝。
町からのバスが、峠道を越えてやってきた。
峠のバス停でバスは停まった。そして一人の客が降りる。
バスが通り過ぎると、その客は、大きなカバンを脇に置き、今にも朽ち果てそうな長椅子に腰を下ろして、タバコに火をつけた。
そして、古めいた黒い手帳を開いて、花柄模様の封筒に入った1通の手紙と写真を1枚取り出した。
その写真には、白いシャツにジーンズ姿の、笑顔の怜子が写っていた。

終わり

:長い間、お付き合いいただきありがとうございました。突然、思いついたように書き始め、こんなに長くなるとは思ってもみませんでした。最初はもっと辛辣なストーリーを展開できないかと苦心しましたが、そこは素人の限界。なんだか、ありきたりの話になってしまいました。

実は、このストーリーの途中から出てくる、「銀二」は、途中までまったく想定していなかったキャラクターです。ただ、幸一や母和美を救う人間がいるはずじゃないかと考え始めて、生まれたのですが、実は、『銀二』に自分自身が惚れてしまって、第2部は銀二と和美の関係を書こうと思っています。そして、第1部でもっとも鍵を握ったタケさんにも、そこまで突き進む強烈な心情をもっと深めてみたくて、第3部では35年前まで遡ってお話を進めていこうと思っています。

峠(たお)は、第1部が1985年の瀬戸内のある村を舞台にしていました。第2部は、1960年から70年が舞台になります。そして第3部はさらに遡って1950年からの話になります。2009年の今とは、随分、社会事情も違っています。もっとも違うのは、携帯電話でしょうか。85年時分には、携帯電話が無く、すぐに連絡を取り合う事もできませんでした。だからこそ、人と会い話をし、物事は動いていくのです。今の時代、何かあればすぐに携帯電話で話が出来、とても便利ですが、人と人が直接であって、協力して動いていくことが少なくなったように思います。
若い人には理解できないかもで知れませんが、そこからドラマが生まれる事もあるのではないでしょうか?

それから、ここに出てくる玉浦という村は実在しません。ただ、山口県防府市に、この村に良く似た場所は存在します。私の故郷です。話に出てくるような大きな川はありませんが、四方橋=四本橋、にしきや=ゑびすや、等にて居る所はたくさんあります。もう10年以上帰っていません。

それから、題にした「峠(たお)」は、おそらく山口県の方言だと思います。山口には、あまり高い山はありません。ですが、低い山があちこちにあり、町と町をつなぐ峠道を、みな、「たお」と呼んでいます。
人生にも、峠(たお)を超える時ってありますよね。そこを超えると新しい世界が広がっている、そこを超えると時分の居場所に帰れる、また、むやみに越えてはいけない峠もあるんじゃないかって思います。

もしよろしければ、第2部もお読みいただけると幸いです。

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はな

おはようございます♪
第一部読み終わりました!
”和美”を中心とした複雑な人間関係がすごくおもしろかったです。
同性として羨ましいくらいたくさんの人に愛された和美がどんな人だったのか第二部でわかるのでしょうか・・・楽しみです!

タイトルの 峠(TAO)にはそういう意味があったんですね
幸一にとってはむやみに越えてはいけない峠だったけど、越えたことで新しい世界が開けた大切な峠でしたね
by はな (2010-10-06 09:35) 

苦楽賢人

峠(TAO)の意味、判っていただけるまで読んでいただけ本当に感謝しております。子どもの時、峠(たお)を越えて町へ出て行く時、何だか少しどきどきした思いと、峠(たお)を越えて家に帰るときの安堵感、今でも覚えています。
第2部は、少し趣が違いますが・・・和美と銀二の人生を綴りました。また、感想を聞かせてください。本当に心から感謝します。
by 苦楽賢人 (2010-10-06 20:48) 

姥桜のかぐや姫

一気に読ませてもらいました(^0^)

又、2部も読ませていただきます。
by 姥桜のかぐや姫 (2011-02-01 08:42) 

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