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3節‐20 難波津へ [アスカケ第4部瀬戸の大海]

20. 難波津へ
淵辺の里作りは、アタルとユキが夫婦となり、周囲の里の者も手伝う形で、本格的に始まった。
水路を掘り出した土は、周囲に積み上げられ、そこには田畑が作られた。家屋も徐々に作られ始めた。

アタルは一族の長として、若いながらも立派に勤める事ができるはずだとカケルも確信し、淵辺の里を離れる事にした。
「我らは、難波に向け、出発いたします。」
カケルとアスカは、明石の港に居て、オオヒコたちに挨拶をした。

「難波から戻った船に聞いたのですが、どうやら東国では、皇君の座を得ようと、大和の豪族たちの間で戦が起きたようです。難波津も、東国からの荷が滞るようになっているようです。くれぐれもお気をつけて参らますように。」
カケルはオオヒコの話を聞き、とりあえず、難波まで向かい、そこからの道程は様子を確認して進むことにした。
オオヒコが船の手配をしてくれて、難波へ向かった。

「この先、ゆっくり行っても、夕刻には難波津へ着けましょう。」
カケル達が乗ったのは,讃の国から難波へ向かう荷船だった。船の頭は、穏やかな海を眺めながら、カケルに言った。
「難波津とはどのようなところなのですか?」
カケルは、船縁に立ち行く先に視線をやって聞いた。
「・・難波津は、大きな港です。・・北に広がる河内の海とこの瀬戸の大海を繋いでいます。都へ荷を運ぶ為には、そこへ着けるしかないのです。」
船の頭は、舵を切りながら答える。
「河内の海とは・・初めて聞きました。」
「・・なあに、海と言ったって、真水が溜まった大きな池みたいなものです。大和から流れ出る川の水が溜まり、浅く広い大きな池です。ですから、播磨から来た船は、そこには入れません。」
「では、そこからは、船で大和へ行けるのですね。」
「ええ・・しかし、大和はあちこちで戦がおきているようです。そう容易く大和に入れるかどうか・・。だれか、大和まで案内する者がおれば良いのですが・・・」

順調に船は進み、難波津が見えてきた。
「あれが、難波津です。・・ここを治めている統領は、摂津比古様と申されます。大和にもお詳しいはず。どうにか、お会いできれば良いのでしょうが・・なにぶん、高貴なお方ゆえ、なかなかお顔を見ることもありません。」
船の頭は、空いている桟橋に船を近づけながらそう言った。
カケルとアスカは、船の頭に礼を言うと、船を降り、港へ入った。


ーーーーアスカケ第4部「瀬戸の大海」はここで終了です。
      この先、難波津から大和まで・・・最終部になる予定です。ーーーーーーー

ーーーー最終部「大和の国」は、4月1日から掲載の予定です。ご愛読ありがとうございました。---------

3-20播磨灘2.jpg

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