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file5-5 ソフィアの告白 [同調(シンクロ)]

F5-5 ソフィアの告白
一樹とソフィアが立ち上がると、鳥山課長と署長が手招きした。4人は机を囲んで座った。そこに亜美も現れた。
「亜美、お前、どこに居たんだ?捜査会議中、居なかっただろう。」
紀籐署長が口を挟んだ。
「まあ、いいだろう。ちょっと、亜美、ソフィアさんを頼む。」
亜美がソフィアの肩を抱いて、隣に座った。
「これからする私の話は、この5人だけの秘密にしてくれ。いいな。」
皆、頷いた。
「実はさっきレイさんから亜美へ連絡があった。昨日の発作は、ユウキさんとシンクロしている最中に起きたそうだ。・・ユウキさんは、首を絞められ意識を失ったらしい。」
その話にソフィアは卒倒しそうになって、亜美が肩を強く抱いて支えた。
「殺されたということですか?」
一樹が聞いた。紀籐署長は亜美を見た。
「いいえ、そこは判らないみたいなの。ただ、殺されているなら、発作ももっと激しく出るんじゃないかって、だから、まだ何とも言えないみたいなの。」
「いずれにしても、命の危険が迫っているのは確かですね。課員たちにももっと迅速に動くように指示しましょう。」
「ああ、だが、会議の様子ではなかなか厳しいのが現実だろう。もっと違う手を打たねばならない。」
皆、考え込んだ。ふいに一樹が、
「ソフィアが鍵じゃないかと・・。きっと、ソフィア自身は気付いていないけれど、犯人たちには都合の悪い何かがあるんじゃないでしょうか。だから、夜中に襲ってきた。反撃されたので引き下がったのは、まだ次の手があると思っているのじゃないかと・・。」
「ああ、私も同感だ。」
紀籐署長が応えた。
「ねえ、ソフィアさん、私たちに隠してる事あるんじゃない?例えば、犯人たちにどこか違うところで会ったことがあるとか・・」
「ああ、そうかもしれない。何かないか、思い出してくれ。」
一樹はじっとソフィアを見た。ソフィアは一樹の目をじっと見て、
「・・・・ユウキが居なくなる前の日、いつものようにユウキは店に居たの。次の仕事が見つかって帰国しなくてもいいっていうのに何だか憂鬱そうだったから訊いたの、どんな仕事するのって。」
「それで?」
「ほら、怪しい手術の話じゃないかって心配して・・そしたら、手術は受けない、でも、その男の紹介で、病院に勤める事ができるんだって。大丈夫なの?って聞いたら、整形手術は、医者の都合で出来なくなったそうで、代わりに仕事を見つけてくれたんだって。」
「でも、やっぱり怪しいわ。」
「ええ、だから、ユウキにダメだって説得してたの。その時、ユウキに男から電話が掛かってきたから、私が取り上げて、断ってやったのよ。・・ユウキから全部聞いたから、これ以上しつこくするなら、警察に行くからって。」
「きっとそれが原因ね。」
亜美が納得したように頷いた。一樹も、
「ああ、ユウキがどこまで知っているかは別にして、警察に状況を話される事を相当警戒しているんだ。犯人たちも、予想外の事が起きて、強硬手段に出たのかもしれない。」
鳥山課長が
「まだしばらくソフィアさんの身の安全を確保する事が必要だな。」
と言うと、一樹が頷いた。それを見た亜美が、
「私がソフィアさんと一緒に行動するわ。一樹は、捜査をしっかりやってよね。」
と反応した。それに対して、紀籐署長が、
「亜美、お前はレイさんに張りつくんだ。今は、レイさんからの情報を何とか生かすことが必要だ。外出は厳しいだろうから、お前が病院に行ったほうが良い。」
「えー、一樹とソフィアさんが一緒にいるのって問題あるんじゃない?」
「何を心配してんだよ。お前、おかしいぞ?じゃあ、俺がレイさんのところに行こうか?」
一樹がそう言ったので、亜美は、「もう知らない!」と言ったきり、プイッと横を向いてしまった。
廊下には、佐伯が立っていた。佐伯はイヤホンを耳にあてていた。
「何だ、この会話?わけが判らんな。だが、レイっていう娘、透視能力でもあるのかな?まあ、いい。面白い情報だったな。」
一樹たちが会議室から出てきた。佐伯は、わざとらしく一樹の肩を叩いて、
「何だ?署長や課長と密談か?やっぱり、署長の覚えが良い奴は待遇が違うなあ。おい、何の話をしてたんだ、教えろよ。」
そう言った。一樹は、その手を払いのけ、ソフィアを伴って署を出て行った。

「回収成功!・・こんなもの見つかったらやばいからな。」
佐伯は、会議室から出るときに、一樹のジャケットの襟元に、盗聴マイクを取り付けていたのだ。佐伯も口笛を吹きながら署を出て行った。

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