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40.これからの相談 [AC30第1部グランドジオ]

一通り話を聞き、フローラの置かれた状況とCPXの性能について、みんなは理解したようだった。CPXは、もとの球形に戻っていた。
「これからの事ですが・・。」
CPXが切り出した。すると、ガウラが言った。
「まずは、プリムの治療よ。余り長い時間、コールドスリープ状態のままにしておくのは危険なのよ。脳へのダメージが残るかもしれないから。・・一刻も早く、禁断のエリアに行き必要な薬を持ってきましょう。」
「場所と薬はすでに判っています。」
CPXが言う。
「入口を知ってるのはキラだけだから・・・キラと私、CPXで行けば良いでしょう?」
「フローラは大丈夫かな?」
ハンクが言う。
「禁断のエリアの中心部分まで行くことになるから、おそらく半日以上掛かるでしょう。その間に何か起こるといけないから、ガウラさんはここに残ってください。」
「俺も行く。」
ベッドから起き上がったアランが言った。するとハンクも「俺も行くよ」と立ち上がった。
「いや、3人も行くと、誰かが不審に思うかもしれないだろう。」
極寒の季節に入ったライフエリアでは、皆が、コムブロックで様々な作業を分担するのが約束だった。それぞれ仕事は決まっている。男たち3人がいなければきっと誰かが気付くに違いなかった。おまけに、フローラを連れてきたばかりだ。ライフエリアの人たちは、3人に強い警戒心を持っている。キラひとり居ないだけでもおそらく不審に思われるに違いなかった。
「CPX、君はプリムの姿形になっていたけど・・他の人にもなれるかい?」
「人体データがあれば誰にでも化ける事はできます。」
「なら、君はここへ残ってくれ。僕一人で行ってくる。その間、僕に姿を変えて、ホスピタルブロックでフローラの傍に居てくれないか。・・大丈夫さ、ユービックを持っていくから、これで連絡を取れば良いだろ。・・。」
「それなら、私も行くわ。・・どうせ、私はここに居るのが仕事でしょ?・・フローラに何かあれば、CPXが治療もできるでしょう。ここの住民はもう外に出る事はないから、大きな怪我もしない。おそらく、私の姿が見えなくてもだれも不審には思わないし・・・。」
それを聞いて、キラが言った。
「アラン、ハンク、良いかな?誰かが居場所を聞いたら・・」
「ああ、わかったよ。ホスピタルブロックに居るって話を合わせるよ。コムブロックの仕事は任せろ。」
ハンクが答える。アランは、禁断のエリアへ行きたいと思っていたが、了解した。
「CPX、頼んだよ。フローラを守る為なんだ。」
「判りました。・・では、お二人の身体データをいただきます。」
CPXはそう言うと、球体から1枚の布のような形状に変化した。そしていきなりキラを包み込んだ。その後、ガウラも同様に包み込んだ。そして、もとの球体に戻った。
「これでお二人のデータは取れました。いつでも化ける事が出来ます。」
出発は夜にした。人目を避け、ツリーの最上部まで行かなければならないからだった。それまでの間、キラとガウラはCPXから、コアブロックの隣にあるホスピタルブロックと薬の在り処を確認した。他にも、ジオフロント全体の様々な個所について、CPXの調べた事を聞いた。アランとハンクも、キラと一緒にCPXの話を聞いた。
夕刻になって、アランとハンクは夕食を取りにコムブロックへ行った。その間に、フローラが目を覚めた。
「フローラ様!お目覚めですか?」
CPXが声を掛けた。しかし、フローラは、まるで初めて見たように、驚いた表情を浮かべた。脇でキラが言った。
「君のガーディアン、CPXだろ?」
しかし、フローラは眉を顰めて不審な目つきでCPXを見ている。
「まだ5歳だったんでしょ?ガーディアンなんて理解していなかったんじゃないかしら?」
ガウラがそう言いながら近づき、ベッドの上部にあるバイタルモニターを見た。すぐに「おや?」という表情をした。そして、ベッドに座るフローラを見る。

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