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42.禁断のエリアへ [AC30第1部グランドジオ]

どれほどの時間が経ったのかわからないほど歩いて、二人は遂に、禁断のエリアに入る扉に到達した。
「ここを開けると禁断のエリアです。良いですね・・ガウラさん。」
キラがガウラに確かめる。
「ええ・・大丈夫よ。」
ゆっくりと扉が開かれた。目の前には下に続く階段が見える。ライトで行く手を照らしながらゆっくりと降りていく。
二人は長い時間真っ暗な空間を歩いてきたせいか、禁断のエリアがどこかぼんやりと明るく感じられた。灯りが点いているわけではなかった。壁や床が真っ白であることと、ところどころに小さな反射体が埋め込まれているためだった。
階段を降りたところから、奥に向かって広い通路が真っ直ぐに伸びている。
前日にCPXから説明を受けたとおり、中央通路を進んだ。
白い床がどこまでも続いている。両脇に、いくつもの扉と小さな通路がつながっている。キラはそれらすべてがどんなものなのか一つ一つ確認したい気持ちが高まっていたが、今回はプリムの治療薬を手に入れるのが最優先であったため、ちらちらと見ながらも、真っ直ぐ奥を目指した。
足元の床の色が白からオレンジに変わった。どうやら、中心部に達したようだった。
キラは、持っているライトを高く掲げ、周囲を照らしてみる。
高い天井は小さなライトの光を反射するには至らない。床を照らすと、色の違うラインが数本引かれているのが見えた。その一つの青いラインの途中にホスピタルブロックのドアにあるのと同じマークがついていた。
「キラ、ほら、これ。きっと、この先にあるんじゃないかしら?」
ラインを先に見つけたのはガウラだった。
「行ってみましょう。」
キラはライトで床を照らし、青いラインを辿っていく。
真っ直ぐまっすぐ伸びたラインがある場所で90度曲がり、その先でS字になっている。二人はラインを見失わないようにゆっくり歩いて辿って行く。中央通路は巾が200mほどもあり、ラインがなければ到底辿り着けないと思われた。
ようやく、中央通路からそれぞれのブロックへつながる細い通路が目の前に見えてきた。この先に目指すべき場所があると思うと、二人は少し小走りになっていた。
ブロックの入り口を示すラインが消え。目の前に、ホスピタルブロックを示すマークが光って見える。
「着いたわね・・。」
「ええ・・。」
大きなマークの下に大きな扉が見える。ジオフロントがまだ生きていた頃、きっとこの扉は大きく開け放たれていたはずである。今は固く閉じている。
「どこかに小さな扉があるはずよ。」
ライフエリアのホスピタルブロックにも、解放される扉とは別に、通用口がある。それと同じものがきっとあるとガウラは考えたのだった。厚い大きな扉に沿って。ゆっくりと探っていく。通路の端にあたる箇所にあった。
「ここよ。」
扉の引手をゆっくりと引くと、軽く扉は開いた。手に持ったライトを最大照度にして全体を照らしてみる。そこはライフブロックの何倍もの広さを持っていた。天井まで何層ものベッドルームがあった。エナジーシステムが停止しているため、各層へ上がるエレベーターは動かない。
「薬品庫はきっと一番奥ね。」
ガウラは、キラの手からライトを取り上げ、先に進んだ。通路の両脇には、高度な医療器具が整然と並んでいる治療室らしき部屋がいくつも並んでいた。一番奥の壁までたどり着いたが、それらしい場所は見当たらない。
「変ね・・きっと一番奥だと思ったんだけど・・・。」
ガウラは困惑している。キラはユービックを取り出してCPXへ連絡してみる事にした。そっと撫でてユービックは起動した。しかし、何も反応しない。何度も試してみるが、変化はなかった。一旦、光を発するがその後真っ暗になり停止する繰り返しだった。
「肝心な時に!一体どうしたんだ。」
キラはユービックでCPXにコンタクトすることを諦めるしかなかった。
「自力で探し出すしかなさそうね。きっとこの場所のどこかにあるはずだから・・。」
ガウラはそう言うと、入り口方向へ歩き出し、今度は周囲に目を向けて探し始めた。キラもガウラとともにホスピタルブロックの中のどこかにあるはずの薬品庫を探した。

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