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44.薬品庫 [AC30第1部グランドジオ]

薬品庫の中に入った二人は、目当ての薬を探した。
ガウラは、収納されている薬に大いに興味を持った。300年以上前の薬だったが、きちんと管理されていた。しかし、種類が異常に多かった。目当ての薬にはなかなか辿り着かない。
「お手伝いしましょう。」
エリアキーパーが長い腕を伸ばし、棚の中を探索していく。
薬品庫の中ほどまで来たところで、エリアキーパーが腕を上方に伸ばし始めた。天井近くの棚まで腕を伸ばすと、そこから箱を取り出す。
「これでしょう。」
エリアキーパーはガウラの前に箱を置いた。すぐに中を開いて薬品名を確かめる。
「間違いないわ。これでプリムは元気になれるわ。」
笑顔でガウラが答える。
「これも持っていくと良いでしょう。体力が落ちているでしょうから、即効性の栄養剤です。それと神経強化剤もあると良いでしょう。」
次々に薬を取り出し、ガウラの前に置いた。
「これだけあれば充分だわ・・。急いで戻りましょう。」
すぐに箱をまとめた。

ライフエリアに戻る通路までは、エリアキーパーが薬の箱と二人を腕に乗せて運んだ。
「ユービックはお持ちですか?」
戻る途中で、エリアキーパーが尋ねる。
「ああ、持ってる。だが、ホスピタルブロックでは使えなかったよ。」
「あそこはホスピタルセンターと呼ばれていて、高度な医療機器が在って、治療に支障が起きないように通信遮断されています。他のホスピタルブロックとは違うのです。」
「そうか・・・。」
「ユービックを通じて、私にコンタクトできますから、また、必要なものがあれば指示してください。あの扉までは持っていけますから。」
「判った。・・・だが、ジオフロントの復活はまだ約束できません。エナジーシステムの修復には、カルディアストーンを入手しなければなりません。でもその当てがありません。」
「そこまでお分かりなら十分でしょう。きっとカルディアストーンは見つかります。」
エリアキーパーは言った。
「その前に、ライフエリアのエナジーシステムの修理が先でしょ?」
ガウラが言った。
「ライフエリアのエナジーシステムも故障しているんですか?」
エリアキーパーが訊く。
「ええ・・あと10年持つかどうか・・・それが停まれば、皆、死ぬことになります。・・あそこにもカルディアストーンが必要なのです。・・・。」
しばらく、エリアキーパーが沈黙した。そして、言った。
「それは予測されていませんでした。ジオフロントのエナジーシステムに不具合が発見された時、緊急用として設置されたものでした。カルディアストーンに異常がなければ半永久的なシステムです。あと10年というのは危険です。おそらく、その間に不具合が起きれば突然停止の可能性が高いはずです。急がなければなりません。」
「どこかに代替システムはないの?」
ガウラが訊いた。
「あるなら、ここを閉鎖することはありませんでした。とにかく、一刻も早く、カルディアストーンを手に入れなければいけません。」
エリアキーパーは先ほどとは違って切迫した状態であると警告する。しかし、カルディアストーンは自然石ではなく、高度な科学力が産んだ人工石であった。ジオフロント以外の場所、オーシャンフロントこそが唯一の望みであることをキラは判っていた。

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