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53.アラミーラ [AC30第1部グランドジオ]

キラはすぐにエリックに連絡し、ジオフロントから、新しい武器のいくつかと「アラミーラ」を取り寄せた。「上手く動くと良いのですが」とエリックは一言加えてから、渡してくれた。
「アラミーラ」は、グラディウスと同じように全体は白く塗られ、1か所だけブルーに彩色された楕円形の円盤状のものだった。中央より少し上部にあたる部分に、細い紐状のものが出ている。
キラとアラン、ハンクとプリムは、「アラミーラ」を真ん中にしてじっと見入っている。
「どういうものなんだろう?何かに使うんだろうけど・・・。」
ハンクが呟く。
「その紐をもって盾にでも使うのかな?」
アランが言う。
「エリックは、上手く動くと良いがと言っていたんだ。それに、導師も歩いて辿り着くほど近くにはないだろうと言われてから、手助けするといってアラミーラの事を教えてくれた。・・何か、関係があると思うんだが・・・。」
キラが言う。
不意に、プリムが細い紐状の部分を持った。すると、意外に軽かった。それに、少し弾力もあった。
そんな4人の行動を見ていたCPXが言った。
「アラミーラとは…不思議な翼という意味ですよ。」
「不思議な翼?・・翼って何だい?・・虫たちが空を飛びまわる、あの翅みたいなものってことかい?」
ハンクが訊く。
「ええ・・そうです。翅とは違いますが・・・まあ、いいでしょう。キラ様、その円盤の上に立ってみてください。」
CPXに言われるまま、キラは円盤の上に立った。
「そしたら、その紐上のものを左手で握って、引っ張ってみてください。」
「こうか?」
キラは言われたとおりに、細い紐状のものを引き上げる。シュンと何か小さな音がした。
「では、そのまま左手を胸の前に突き出して・・・そうですね・・・上がれと言ってみてください。」
言われるままにキラは左手を突き出して、上がれと言った。すると、アラミーラが徐々に浮き上がってくる。突然の事にキラは慌てて姿勢を崩して、左手を離してしまった。その途端、ドスンと円盤も地面に落ち、キラは放り出されてしまった。
「そうか・・こいつは、空を飛びまわる事が出来るんだな!」
アランの眼がきらりと光る。アランは、さっきのキラの動きを思い出しながら、円盤の上に立ち、紐を引き、上がれと叫んだ。すると、すーっと円盤が浮き上がった。「前へ進め」そう言うと円盤が宙に浮いたまま前進する。「回れ」というとくるっと向きを変えた。アランはすぐにコツをつかんだようだった。
「CPX、これでいいんだろ?」
コアブロックの天井近くまで上がったアランが叫ぶ。CPXが答える。
「ええ・・そうです。ただ・・口に出さなくても考えるだけで自在に動けるようにならないといけません。・・オーシャンフロントでも限られた人にしか与えられていない道具です。これがあれば、歩いて移動する何倍も早く動けます。」
すぐに、キラも練習を始めた。アランは半日ほどで自在に操れるようになったが、キラはなかなかうまくいかない。心落ち着けて乗ろうとするが、思うように動かず、何度も何度も落下した。
「乗るんじゃなくて・・自分の体と思えば良いんだよ。・・足の裏側に貼りついているつもりになればいいんだ。」
アランがアドバイスする。2日ほどで何とかキラも操れるようになった。
「アラミーラの中にも極小のカルディアストーンが入っています。地球の磁力に反応して、浮き上がる力を得ています。おそらく、地表に出ればもっと高く飛ぶことができるでしょう。・・でも注意してください。高く飛ぶことは、虫たちにも見つかりやすいという事です。もちろん、虫よりも早く飛べれば良いですが・・そうでなければ、餌食にされます。仮に高く飛び上がって、虫に攻撃され、意識を失うと一気に地面まで落下して命を落とすことにもなります。」
CPXはそう説明した。

長い長い極寒の季節、キラたちは旅立ちの準備を続けた。キラとアラン、そしてCPXは、禁断のエリアにも何度か行き、ほかにも役に立ちそうなものはないか、物色した。アランは、できるだけ軽量小型で威力のある武器をいくつか選んだ。キラは万一の事を考え、医薬品や食料の代わりになりそうなものを探した。

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