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3‐35 ダモスのエリアへ [AC30 第3部オーシャンフロント]

フローラは、カルディアのクローンである。おそらく、カバーの開くカギは、カルディアの指紋になっているのだろう。フローラは次々に、ベッドのカバーを開いていく。
皆、すぐには目覚めなかった。だが、徐々に目覚め始めた。
「キラ!」
最初に声を上げたのは、ハンクだった。
「キラ!ここはどこだ?」
次々に目覚め、キラのところへ集まってくる。
「詳しい話はあとだ。とにかく、ここを出なければ!」
カルディアが異変に気づいて、PCXがここへ来るのは時間の問題だった。
皆で手分けして部屋の中を調べる。だが、高い天井の上に通気口らしきものはあるが、他に出口らしきところはない。途方に暮れていた時、警報音とともに、PCXの集団が天井の穴から現れた。真っ赤な色に変わっている。完全に攻撃態勢に入っている。
「ドーン!」
轟音と共に、フローラが留置されていた部屋が爆発した。飛び散る破片と煙が部屋に立ち込める。
「キラ、無事か?」
その声は、ニコラだった。
ニコラは、『イグニス』を握りしめた手をかざして立っていた。赤い光が広がり、PCXが停まった。
「さあ、逃げるぞ!」
爆破で開いた穴から、皆、一目散に逃げた。真っ暗な通路をとにかく走った。
ニコラは、最後に残り、「小さな箱」を投げつけ、ベッドのある部屋を破壊した。

「もう大丈夫だ。この先は俺たちのエリアだ。」
小さな穴が続いている。ニコラが先導し、進んでいく。
最後の穴を抜けたところは、前にニコラと会った、ダモスの大きな空間だった。
長く囚われていたハンクたちは、体力の消耗が激しく、ダモスたちに介抱されている。
キラとフローラは、ニコラのセルに居た。
そこで、キラは、タワーの地下で見てきたことをニコラに話した。
「そうか・・やはりそうだったか・・・。」
「だが、ニコラ、あの場所が、どうしてわかったんですか?」
キラが尋ねた。
「君に渡した『イグニス』のおかげさ。あれで、君の居場所は判っていた。タワーの中の構造もよく判った。今までも探っていたんだが、タワーの中に入ることはできなかった。君が入ってくれたことで、全貌がつかめた。これでいよいよカルディアを倒すための準備は整った。」
「カルディアを倒す?」
「ああ、そうさ。ここオーシャンフロントは、先人類が世界中に作ったものの一つだ。確かに、主要部分は彼女が設計したが、彼女のものではない。だが、彼女は、人類を排除し、自分の為だけの楽園に作り変えてしまった。永遠の命などというマヤカシを使って、人間を支配しようとした。そればかりか、自らのクローンを大量に作り、不完全だと虐げ、追放し、道具のように排除する。そんなことが許されるべきじゃない。今こそ、人類の手に取り戻すんだ。」
ニコラの鼻息は荒い。自らもカルディアの遺伝子を持っているにも拘らず、そんなことは微塵も感じていないようだった。
「あのタワーにいる者すべてを殺してしまうんですか?」
フローラが訊く。
「いや・・その必要はない。永遠の命を作り出すシステムを破壊すればいいんだ。」
「あの・・空間にあったものですか?」
キラが尋ねる。
「ああ、そうさ。あの空間、そして、今のカルディアを支えているシステムを壊すんだ。」
ニコラには具体的な策が浮かんでいるようだった。

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