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3‐38 神秘の力 [AC30 第3部オーシャンフロント]

「フォル・・ティア・・」
確かめるように、キラが小さく呟いた。
「何、言っているんだ?」
横にいたハンクが小声で訊いた。
「フォルティア・・あの、PCXに名前を付けたんだ。」
「フォルティア?」
「ああ、そうだ。」
キラはそう言って立ち上がる。そして、部屋の中に木霊すような声で叫ぶ。
「フォルティア!フォルティア!」
ハンクも続いて叫ぶ。それを聞いて、プリムも、フローラも叫んだ。
「何を騒いでいる?静かにさせよ!」
カルディアがPCXに命令する。1体の赤く点滅したPCXがキラの前に近づいた。
それでも、キラたちは叫び続ける。
きっとこの中にあのPCXは居る。ベッドのカバーを開けておいたのも、フローラの留置されていた部屋の鍵を開けていたのも、きっとフォルティアがやったのだと信じたかった。
目の前のPCXが更に近づいてくる。ほかのPCXも同じように近づいてくる。
「キラ様!」
目の前のPCXの色が赤から青に変わり、言葉が聞こえた。
そして、一気に、大きく膨らみ、キラやフローラ、ダモスの男たちを覆った。
「何をしている!攻撃せよ!」
ほかのPCXが、フォルティアの上に集結する。そして、次々にレーザービームを発射する。PCXの強力なライブファイバーはビームを跳ね返し続けた。
「しばらく耐えてください。」
フォルティアの声がキラたちを包んだ膜の中に響く。
ひとしきり攻撃が続いた後、急に攻撃がやんだ。
「もう大丈夫です。」
フォルティアは膜を開き、球形に戻った。
その様子に、カルディアは狼狽えている。
「一体どうしたことか!お前たち、どうしたのだ?私の命令に従うのだ!」
だが、PCXたちは、攻撃をするどころかた、キラたちの周りに並んで、カルディアに向き攻撃色に変わった。
フォルティアが宙を飛び、カルディアの前に立つ。
「カルディア様、もう諦めてください。私たちPCXは、もうあなたの命令には従いません。あなたの支配は終わったのです。」
「馬鹿な・・・ここは私のもの。私が作ったのだ。永遠の命を持ってここを支配するのだ。」
カルディアは、そう言うと膝をついた。
見るからにカルディアは老いぼれている。先日、ドームで見たカルディアとは別人と思えるほどやつれている。
「さあ・・もう・・抵抗するのは・・。」
キラが一歩近づいた時、カルディアはばたりと倒れこんだ。そして、ドームの中から転げ落ちた。
フローラが駆け寄り、身を起こそうとした。だが、すでに息絶えていた。
「これで終わったのか・・・。」
キラが呟く。あっけない幕切れだと思った。誰もが気を許した時だった。
目の前のドーム状のものが急に光り始めた。そして、銀色のドームの縁がキラリと光った。すると、近くにいたPCXが粉々に砕け、地面に落ちた。何が起きたのかすぐには判らなかった。再び、キラリと光ると、別のPCXが爆発した。ようやく、事態が呑み込めた。カルディアの乗っていたドームが青い光を放って攻撃をしている。PCXは反撃するが、次々に破壊されていく。
「キラ様、逃げてください!」
フォルティアが叫ぶ。
ダモスの男たちも、その声に反応し、次々に穴へ飛び込んだ。

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