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3‐40 抵抗する者たち [AC30 第3部オーシャンフロント]

「そうです。カルディアが探し求めていた、最も優良な遺伝子を持っているのは、キラ様なのです。カルディアは、すでにキラ様の体から遺伝子を抜き出しているはずです。」
「遺伝子を抜き出す?」
キラが驚いて訊く。
「タワーの中でどれほどの時間を過ごされたか覚えていますか?」
「何日か、白い部屋の中で過ごしたが・・・・・。」
「プールの様な中で眠りましたね。」
「ああ・・ステラがそう言って・・・。」
「あれは、ベッドではなく、仮死状態を作り出す装置だったのです。キラ様がここへ来られてすでに3ヶ月が過ぎているのです。ここへ到着した時、オーシャンフロントは熱波を避けて北緯60度以北にいました。白夜を観られたでしょう?」
「ああ・・そうだ・・夜は短いとステラが言っていた。」
「タワーから逃げ出し、森の中で過ごされたでしょう。あの時、夜はどうでしたか?」
キラはハッと気づいた。
「そうか・・・真っ暗な闇だった。白夜ではなかった。・・・そうか、それほど時間が・・・。」
「すでに、次の新しいクローンは、あの命の泉で命を得ています。あと、僅かで完成するでしょう。」
「新しいクローンが完成する?」
「はい。それはキラ様のクローンではありません。キラ様とカルディアの遺伝子を併せ持つクローンなのです。」
キラはニコラを思い出していた。
カルディアのクローンと人間の間に生まれたダモスたちは、皆、屈強で長寿だと聞いた。
自分とカルディアの遺伝子を引き継ぐ者がどれほどのものか。カルディアは既にそのクローンが強大な力を持つ事を予見しているに違いなかった。そして、それらは確実にダモス達と闘い、オーシャンフロントをこれまで以上に強大な力で支配することになる事も、容易に想像できた。

「ねえ、次のカルディアは誰が選ぶの?」
そばにいたフローラがフォルティアに尋ねる。フォルティアは少し考えてから、答えた。
「それは、オーシャンフロント自身です。」
「馬鹿な・・オーシャンフロントはただの建造物に過ぎない。まるで意思を持つような・・・いや・・それは・・。」
そこまで言ってから、キラが口ごもる。
「どうしたの?」
フローラが怪訝そうな表情で訊く。するとキラは目を輝かせて答えた。
「判った。そうか・・そういうことか・・フォルティア、フローラ、すぐにニコラのところへ行こう。」
そう言って、キラは、穴の中へもぐりこんだ。
「キラ、フローラ、無事だったか。心配したぞ!」
ニコラたちはすでに自分たちのエリアに戻っていて、キラたちが戻るのをハンクが出迎えた。
キラはすぐにニコラのもとへ走った。
「すぐに、反撃しましょう。」
「いや・・今のままではどうしようもないだろう。」
「いえ、判ったんです。この島を支配しているのは、はるか昔死んだはずのカルディアの意思にすぎないんです。すぐに反撃すれば、きっと勝てます。」
「一体どういうことだ、順番に話してくれないか・・。」


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