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3‐41 アルコーン [AC30 第3部オーシャンフロント]

ニコラはすぐに皆を集め、キラを中心にして取り囲み、キラの話を聞いた。
「ジオフロントには、クライブントという導師がいました。僕たちは、日々の暮らしの中で判断に困ったら、導師の意思を聴くことにしていました。いわば、我らの長(おさ)だったのです。しかし、それは、先人類の長でした。はるか昔、ジオフロントが機能停止した時、最後の支配者であり、その意思はすべて、ジオフロントのメインコンピューターに残されていたのです。僕たちは長い間、実在していると信じてきたのです。」
キラが話すと、ハンクが付け加えた。
「それを、キラが暴いた。すべては人類を守るための仕掛けだったんだよな。」
そこまで聞いたニコラも、納得したような表情で言った。
「そうか・・カルディアも実在するのはクローンであり、本物はすでに居ない。とすれば、全て、あのタワーのどこかに、カルディアの意思を持つコンピューターの仕業ということか。・・それを破壊すれば良いと・・。」
「ええ、そうです。きっとタワーのどこかにあるはずです。」
「だが・・タワーの中の事はあまり判っていないんだ。どこにあるのか・・・。」
ニコラは残念そうに言った。
キラは、ドロスのリーダー、エルピスを見て尋ねた。
「どこか、心当たりはありませんか?」
エルピスはしばらく考えてから答えた。
「我ら、ドロスは、タワーの地下の様子は隅々まで知っている。だが、そんな場所はないはずだ。」
「では・・タワーの上部にあるということですね。」
「ああ、おそらく、そうだろう。」
キラは今度は、フローラに訊いた。
「フローラ、君は、しばらく、プレブの層にいたはずだ。どこかそういう場所はなかったかい?」
「いえ、私たちが居た場所には、そういう場所はなかったわ。ほとんど、壁と部屋だけだったわ。」
それを聞いてキラが言った。
「ぼくは、最上階のパトリの部屋にいた。そこにもそんな場所はなかった。多分、その下層のノビレスの層にもないだろう。」
「じゃあ、一体どこに?」
フローラが訊いた。
「フォルティア、あのカルディアが乗っていたドーム状のものはどうだろう?」
「あれは、アルコーンと呼ばれています。カルディアになった者の玉座です。」
「目の前でカルディアが死んだ後、アルコーンは攻撃してきただろ?あれ自身が意思を持っているんじゃないかとおもったんだ。・・あれがすべてではないかと・・。」
確かに消去法で考えれば、その可能性は高いと思えた。だが、確証はなかった。
一連の会話を聞いていた、キラの妹サラが、恐る恐る、口を開く。
「幼い頃、ジオフロントで、クライブント様から聞いたんだけど・・・。」
「どうした?サラ。」
「先人類の古い言葉には、いろんな意味があるって。さっきの・・アルコーンだったよね。アルコーンって・・確か、支配するという意味だったはずよ。」
「本当か?」
「ええ、間違いないわ。」
キラは、ニコラを見た。ニコラもキラを見た。そして頷いた。
「サラの言葉通りなら、アルコーンこそが、カルディアの本体。それを破壊すればすべて終わるんだな。」
ニコラの言葉に、キラが答える。
「ええ、きっとそうです。・・今なら、カルディアを守るPCXは破壊されつくしていないはずです。今なら、一気に攻撃できるでしょう?」
「ああ・・急がねば・・だが、アルコーンは強力な武器を持っている、簡単には破壊できないだろう?」
PCXフォルティアが答える。
「私に作戦があります。」


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