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3‐46 ジオフロントへの帰還 [AC30 第3部オーシャンフロント]

ひとしきり、無事を確かめ会い、歓喜に沸いた後で、キラが訊いた。
「ガウラさん、これは?」
「すごいでしょ?アエロプリオって言うんですって。」
「アエロプリオ?」
「あなたが出発した後、エリックはジオフロントの復活のために頑張ってくれたの。もうほとんどの場所が昔のように使えるようになったわ。これも、エリックが見つけたのよ。すごいでしょ?空を飛べるの。これがあれば、何処にでも行けるわ。」
キラたちはガウラの迎えで、ジオフロントに戻る事にした。
しばらく、青く広がる海の上をまっすぐに進んでいく。
乗り込んだジオフロントの皆は、操縦席の前にある大型モニター画面を見つめた。
水平線が伸びている。
「もうすぐ、陸が見えてくるはずよ。」
操縦席に座ったガウラが言う。
遥か前方に緑の山並みが見えた。徐々に近づいてくる。
「あれが・・ジオフロントのある大陸なのか・・・。」
初めて見る光景に、ため息交じりに誰かが呟いた。
アエロプリオは徐々に速度を落としていくと、森の上空に静止した。モニター画面が、エアロプリオの真下を映し出した。
「見ていてね。」
ガウラがマイクに向かって「着いたわ。」と告げると、スピーカー越しに「了解しました。」とエリックの懐かしい声が響いた。
すると、森の木々がゆらゆらと揺れ始め、左右に動き始める。地面が割れたように見えた。
下には、いくつかの眩い光が点滅していた。エアロプリオはゆっくりと降りて行く。すぽりと地面の中に納まると、上部が、蓋が閉まるようにゆっくりと閉じていった。
「まだよ・・。」
小さなモーター音が響くと、アエロプリオを乗せていた台座がゆっくりと沈みこんでいく。その間、周囲は真っ暗になった。10秒ほど過ぎたところで、静かに止まった。
アエロプリオのハッチが静かに開き、ようやく外に出た。
巨大な空間が広がっている。そして、今乗ってきたアエロプリオと同じ機体がいくつも並んでいる。
「ここは?」
キラがガウラに尋ねる。
「ジオフロントの最深部よ。コアブロックの真下にあったの。エリックも知らなかったみたい。エナジシステムの調整のために、潜り込んだところで、見つけたのよ。」
「こんなものがあったなんて・・・。」
キラは周囲を見渡し、ひとしきり感心している。
「先人類も、一部の人にしか知らされなかったんじゃないかしら。クライブント導師もご存じなかったわ。ここの存在を知っていたら、生き延びるための別の道もあったとおっしゃていたから。」
「これからは、ここにあるアエロプリオを使って、何処にでも自由に行けますね。・・虫たちに怯えることもなく、外界に出て、食糧を調達できる。・・オーシャンフロントにだってすぐに行ける。」
「ええ・・そうよ。でも、全て、キラがカルディアストーンを見つけてきてくれたからよ。ありがとう。」
「いえ・・僕だけの力がありません・・・一緒に行った・・アランや・・PCXの助けがあったからです。・・」
ふっと、キラは、アランやPCXと過ごした旅の事を思い出して、目頭が熱くなった。
「お帰りなさい。さあ、コムブロックへ帰りましょう。」
エリックは、大きなバスの様な乗り物を操縦して現れた。広いジオフロントの全てに光が溢れている。


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