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file4-7 レイからの連絡 [同調(シンクロ)]


そんな時、亜美のカバンの中から、呼び出し音が聞こえた。
「あ!レイさんからの電話!」
先日手渡された専用の連絡ツールをカバンから取り出した。

「もしもし、亜美です。・・・・はい。・・・わかったわ。・・じゃあ・・待ってるから。」
そういうと電話を切った。
「レイさんが会いたいって。・・何か、昨夜、弱い思念波を感じたらしくって、気になるんだけどそれ以来シンクロできないらしいの。」
「まさか、ユウキの件と関連があるんじゃ・・」

ほんの15分ほどでレイは署に現れた。
「ごめんね。突然。でも、どうしても気になっちゃって。」
Tシャツにジーンズ、スニーカー姿で現れたレイは、先日、告白したレイとは違う、以前の活発なレイに戻っていた。言葉遣いや声の調子も随分と違っていた。

「とりあえず、どんな事を感じたのか教えて?」
亜美は資料室のソファに座りながら、訊いた。
しかし、レイは、初めて会うソフィアを見て、どうしたものかと困っていた。
その様子に一樹が気づいて、
「ああ、こちらはソフィア。俺が行く店のママ。ひょっとしたら、レイさんの感じた思念波はソフィアの友達かも知れなくて。・・ああ、レイさんの能力の事はソフィアにもあらかた説明してるから大丈夫だ。」

その説明を聞いてレイは、じっとソフィアを見つめた後、亜美のほうも見て、
「ねえ・・ソフィアさんって、一樹のことすごく好きなのね。私、そういうの感じるから。・・亜美さん、大変ね。・・ライバル出現ってとこかしら。」
少し意地悪そうに言ったのだった。
ソフィアはその言葉を聞いて、にっこり頷いた。
亜美はどぎまぎした。レイの存在にさえ、嫉妬心を持っていたのだ。それにまた、ソフィアが現れてしまって、このところ少し冷静さを失っていたのも事実だが、レイに言い当てられて、顔を真っ赤にした。

しかし、一樹はそんな事、気にするでもなく、冷静に言った。
「なに馬鹿なこと言ってるんだよ。さあ、レイさん、話してくれ。」
「ええ、昨日の夜・・8時頃にね・・すごく弱くて短い思念波を感じたの。すぐにシンクロしたんだけど、全然ダメで。」
「ダメって?まさか、殺されたとか・・」
「ううん、それはないはず。もしそうなら、もっと強く、それに色も違って見えるはず。」
「色って?思念波は色が付いてるの?」
「ええ・・ほとんどは青い色・・でも命に関わるくらい・・殺されるような恐怖だと赤くって・でも・・昨日感じたのは、少し青いくらいで、恐怖はあるんだけど・・ある程度わかっていたような・・だから、何か事件が起きたんじゃないかって・・その後も何度か、シンクロしようと試したんだけどダメだったの。」
「その・・思念波・・どんな・・具体的に何かわかるようなものはないかい。」
「ええ、一瞬なんだけど・・黒い大きな車・・ほら、バスみたいな・・と大きな人が見えた。暗くて顔まではわからなかったけど・・」
「その、思念波を出した人間については?」
「・・・若い女の子・・かな・・イヤっていう拒否するような感覚・・でも、すぐに途切れたから・・気絶したか、眠らされたかしたんだと思う。」
「やっぱり、ユウキさんじゃないかしら。」
亜美が言った。
「そうか・・なあ、レイさん。例えば、その場所に行けば、もっとわかる事ってないかな?」
「今までそういうことはやった事がないけど・・ひょっとしたら、曖昧な部分がもっと鮮明になるかも・・」
「よし、じゃあ、ユウキさんのアパートに行ってみよう。多分、そこで誰かに連れ去られただろうから。」
4人は急いで部屋を出た。

玄関脇には、フリーライターの林が立っていた。
レイのことをあれからも追い続けていて、署に現れたのを偶然見つけて、待ち伏せしていたのだった。
「おや、一樹と一緒に美女3人。あいつ,モテルなあ。・・何か面白そうな事がありそうだな。」
林は、4人が出てきたのを見つけ、すっと影に隠れた。そして、後をつけることにした。

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