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7日目⑤いずれが菖蒲か杜若 [琵琶湖てくてく物語]

日野川を渡った辺りからは、松並木が続いている。白い砂浜も見える。佐波江浜というらしい。近くの集落も佐波江町とあった。古地図には載っていないので、まだ比較的新しい町だろう。古地図では、湖岸近くに、野田村・五條村・野村などが並んでいる。野田や野村は、今は、県道26号がある辺りなので、琵琶湖岸は随分内陸部にあったことが判る。
しばらく、松並木と田んぼの風景が続く。
私たちの後方から、私たちよりも年上の、いわゆる「お婆さん達」が3人が歩いていた。
女三人で姦しいとはよく言ったもので、何か大きな話し声が聞こえたので、振り向いてみて気づいた。軽装なので、恐らく散歩だろうと思っていたら、見る見るうちに近づき、私たちを追い抜いて行った。恐るべし老年パワー。日ごろから脚力を鍛えているに違いない。これなら介護保険サービスを当分使う事はないだろう。感心している場合じゃなかった。今度はお爺さんが同じように凄いスピードで近づき、あっという間に追い抜いて行った。
その方も軽装だったので、近くの方達だろう。佐波江の住民は、皆さん、きっと脚力自慢に違いない。還暦の私たちも、もっと脚力を鍛えなければと反省していたのだが、さらに驚いたことがあった。先ほど私たちを追い抜いて行った「かしまし娘」達が戻ってきたのだ。どこかまで歩いて戻って来た様子だが、何か用事を済ませて来たのではなく、とにかく、この佐波江浜の歩道を行き来してウォーキングをしているようだった。「琵琶湖一周するぞ!」なんて、浮かれた気分で歩く前に「日ごろからこうやって鍛錬すべきだよ」と言われているようで、ちょっと恥ずかしかった。
そんなちょっとブルーな気分で、家棟川を越えた。
おっと、あのブルーの看板は・・ローソンではないか!ちょっと気分が上がり、さきほどの「かしまし娘」のように足運びが早くなる。
さすがに、バナナとチョコでは満腹にはならなかった。そうか、「かしまし娘」達に追い抜かれたのは、きっと、空腹のせいだ!
ローソンは、道路の反対側。目の前まで来て、なかなか道路が渡れない。さざなみ道路は信号がほとんどない。国道8号線に比べて、走る距離は長くなるが、快適に走れるので、車の数は多い。そして、スピードが速い。これは、高島市の湖周道路でも同じ。ほとんどの車は時速70㎞~80㎞で走り抜ける。ここはさらに、道路がカーブしているので、見通しが悪く、ちょっと車が途切れたと思うとすぐに姿を見せる。渡るのは勇気が要る。それでも何とか、道路を渡り、ローソンに飛び込む。
体が冷えているので、絶対、「肉まん」を買おうと思い勇んで入ったのだが、「ただいま加温中」の看板が掛けてあった。うーむ、残念。結局、おにぎりとサンドイッチを買って、店を出た。風は弱くなり、天気も良いので、浜辺に出て食べることにした。とにかく、まずはこの空腹を満たしたい。先ほどと同様に、往来の激しい道路を渡り、浜へ出た。
砂浜に座り、おにぎりとサンドイッチを妻と分けて食べる。
ぼんやりと、この先の行程をMapで確認していて、ちょっと面白い事を発見した。
先ほどのローソンは、野洲菖蒲店だった。その南側には、近江鉄道バスあやめ営業所がある。さらに、その隣には「杜若(かきつばた)神社」があるのだ。
菖蒲とあやめと杜若。菖蒲とあやめは、いずれも同じ「ユリ目アヤメ科アヤメ属」の花ですし、漢字変換すると同じなので、まあ、許せるとして、杜若(かきつばた)は「キジカクシ目アヤメ科アヤメ属」とまったくちがう花だ。その3種が、隣り合う場所に名を連ねているというのはおそらく他にはないことだろう。
杜若神社の謂れを見ると、野洲川上流にある長澤神社のあやめ池から流れ着き広がった場所であったことで名がついたとされていた。だが、地名は菖蒲(あやめ)。名をつけた当時は、菖蒲も杜若も同じだったのか、それともわざとそういう名にしたのか・・ちょっとしたミステリーだ。

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