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11日目②近江舞子 [琵琶湖てくてく物語]

すぐに少し広い道に出た。歩道があり、ビワイチ用の自転車通行帯の青い線があった。車の通りも少ない。しばらく行くと、右手に湖畔が見えた。少し距離がある。もう一本湖畔沿いの道がないか、GoogleMapで調べると、わき道から湖畔沿いの道があることが分かった。すぐに右手に入る。車一台分の道路があって、両サイドに別荘らしき建物が並んでいた。別荘の隙間から湖畔が見えた。そこからしばらくは、うっそうとした茂みのある道になった。目の前に小さな坂道があり、その先は川。
「比良川」だった。ほとんど水が流れていない。確か、この川の上流、ちょうど湖西道路があるあたりには、巨石がゴロゴロ並んでいたはず。標高1000mを超える山から、ほんの3㎞で琵琶湖へ注ぐ川であり、雪解け時にはかなりの流量になるに違いない。3月に歩いていたら、この川の流れを確認できたかもしれない。
橋を越えると、ようやく琵琶湖が見えた。相変わらず、この辺りにはボートプールが並んでいる。この先は、近江舞子だ。狭い道路の両脇に、ホテルや民宿が並んでいる。
この「近江舞子」という地名にはちょっと引っ掛かりがある。
というのも、愛知県、知多半島には「新舞子」という地名があるからだ。愛知にいたとき、なぜ、「新」なのかと疑問に思ったので、一度調べたところ、神戸の名勝「舞子の浜(白砂青松の風景)」になぞらえてつけられたらしいということが分かっていた。そこにきて、この「近江舞子」である。これはきっと、同じ由来だろうと思ったら案の定。
昭和のレジャーブームで一気に火が付いたというところだろうか。
ここにある民宿「白汀苑」も同じ由来に違いない。商売上手なのか、オリジナリティがないのか、評価はそれぞれだろうが、おそらく、現在では、神戸の舞子の浜はそれほど認知されているとは言えないので、ネームバリューは低下しているだろう。
ただ、名前は別にして、この浜は美しい。
北に向かって緩やかに湾曲し、白い砂浜と緑の松林が見事にマッチしている。そして、さらにそれにプラスして、内湖があるために、余計な街並みが目に入らず、1000mを超える比良山系を眺めることができる。これほどの景色は、琵琶湖を歩く中で初めて見たといっても過言ではない。
近江舞子の中を抜ける道は、舗装路ではなく、白い砂道で、それも新鮮だった。
浜を通り抜けたところに、「近江舞子中浜水泳場」の大きな看板のついた門があった。
真夏はずいぶん混雑するんだろう。駐車料金を見て驚いた。
シーズン中(7月から8月)は1500円。シーズンオフには1000円。時間制ではなく1回の料金らしい。意外に安い。管理者が南小松自治会というのも珍しい。これなら、きっとシーズンにはずいぶんと混むに違いない。
「水泳場」という呼び名には未だ馴染めないでいる。
私は生まれが瀬戸内で、生家の目の前は海だった。強風の時には、磯の海藻が飛ばされてくるほど近かった。
泳ぐのはもっぱら海。だから、夏になると、日中はほとんど海にいた。いわゆる「海水浴」というのではなく、とにかく遊び場が海岸だったのだ。
「貝掘り」をしたり(潮干狩りなんて生易しいものではない。夕食の材料を確保したり、売るために掘るのだ)、海藻採り、蛸採り、魚採り、みな遊びではなく、生きるために近かった。泳ぎ方は、幼児のころに勝手に覚えていた。学校の水泳の授業が、なんとも生ぬるく思えた。水泳というのはスポーツであると勝手に思い込んでいるので、「水泳場」と聞くと、どうも、競技会がある場所のイメージに繋がってしまう。
「海水浴場」という言葉があるのだから、「湖水浴場」でよいのではないかと思う。ちょっと、語呂が悪いかな?

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