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2日目、④山越えの道 [琵琶湖てくてく物語]

国道303号線の大浦口信号から東へ向かう。
ここからは山中のルートになる。暫くは琵琶湖から遠く離れてしまう。菅浦まで歩いて、奥琵琶湖パークウェイのルートも考えたが、さすがに厳しい。ちょっと安易な道を選択してしまった。
303号線に入ると歩道があり、歩きやすい。右側だと、山の下に広がる集落が見える。
この道路は「琵琶湖西縦貫道」というらしい。
初めてこの道を通った時、「動物注意」の道路標識の下に「この付近 シカ・イノシシ・タヌキなどの動物がよく飛び出る区間 走行注意」の大きな看板があるのに驚いたのを覚えている。確かに、民家がほとんどない山間を抜けているので動物が飛び出しても不思議はない。以前によほど大きな事故でもあったのかと思う。ただ、ここのような山間を抜ける道路はどこにでもある。以前に暮らしていた愛知県でも山間地域にはざらにあった。
妻は、ここを通るたびに、この看板の事を口にする。
ただ、ここでは一度も動物を見た事はない。
むしろ、高島市内へ入った方が動物を見かけることが多いように思う。
つい先日(これを書いている2023年4月)も、鵜川の48体石仏のある墓地で猿の軍団に出くわした。椿の花を美味しそうに食べていた。
昨年秋には、鹿ヶ瀬の手前で、鹿が道路を歩いていた。柵の隙間から出て来たのか、まだ小鹿のようだったが、あの後どうしたか。
小浜市へ抜ける道路では、猪の親子がのんびりと横断していった。
何より、家の庭には、イタチ、テン、タヌキ、こともあろうに、アライグマまで顔を見せる。住む人が年々減っている高島市は、恐らく、動物が増えていると思う。
看板を読むと、どうしても、野生動物を厄介者のように扱っているように感じるが、むしろ、人間が動物の領域を我が物顔で立ち入っているのではないかと思う。
以前に書いた「アスカケ」のⅠ部で、霧島山の麓に暮らす翁の話を書いた。獣と戦い、両腕を失い、人の厄介になることを避けるように、自ら郷を離れ、人と動物の住む境界に暮らし、互いが干渉しすぎないように命を賭けている翁の話だ。人は自然の中に生かされている存在であるにも関わらず、容赦なく自然を破壊する。大和国家が成立する前は、恐らくそういう時代であったはずだ。(よろしければ、「アスカケ」も読んでいただければと・・・)

そのまましばらく行くと、岩熊隧道に入る。
入ってみて驚いた。トンネルの中を歩く経験は余りなく、今回、海津大崎のトンネルで初めてだったかもしれない。ただ、あのトンネルでは、殆んど車が通らなかったため、気づかなかった。
トンネルの中は、激しい騒音なのだ。会話は全くできない。息苦しささえ感じる。普段、車で通過しているが、それほどとは思わなかった。
大型トラックが来ると、轟音と風圧に命の危険さえ感じる。岩熊隧道は、広い歩道があり、決して危なくないのだが、騒音と風圧だけで恐ろしい。
さらに驚くのは、バイクだ。乗用車やトラックの比ではない。バイクの排気音は特別だった。F1レース場のごとく、甲高い音で鼓膜がおかしくなる程だった。時々、トンネル工事を見かけることがあるが、この騒音の中で重機を使って工事をするというのはもはや人間業ではない。きっと耳栓はしているに違いない。1時間もトンネルに居たら精神的に変になるとさえ思った。
この岩熊隧道(第2)は、全長796m。滋賀県で10番目らしい。歩いて抜けるまでだいたい15分。限界に近かった。
ところで、岩熊という地名。読み方は「やのくま」らしい。

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