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5日目⑦能登川駅到着 [琵琶湖てくてく物語]

能登川駅前のフレンドマートに着いた。
時間は16時15分。日暮れまでにはまだ時間はあるが、今回はかなり体力を消耗した。
特に、愛知川沿いを歩いたところが最も辛かった。湖岸のゴールを終えて、駅へ向かうのは、或る意味「敗戦投手の仕事」みたいで、先へ進むという感覚が持てないのは精神的には厳しいことがよく判った。
フレンドマートで、ちょっと体を温めてから、駅へ。
能登川駅には、初めて来た。水車のオブジェがあるロータリー。フレンドマートと一体化している。
改札を抜けてホームへ。電車は17時01分。座席に座り休息した。降りる駅は南彦根駅。外はもう薄暗くなってきていた。
ぼんやりしていると、なんと、10分で到着。一日かけて歩いたところを電車では10分。余計に疲れが出た。
駐車場に向かい車に乗り込んでから、歩数計を見た。
33,877歩、距離は23㎞。
前回よりは長い距離を歩いているが、南彦根駅からスタート地点、ゴール地点から能登川駅までの距離を引くと、実質15㎞程度しか歩いていない計算になる。
疲れた割には進んでいない。
自宅へ向かう車中では、次の事を考える余裕がなかった。何故だか、随分と疲れてしまっていた。

家に辿り着いた時はもう外は真っ暗になっていた。
夕食をとりながら、妻とこれまでの事を振り返ってみた。
「やっぱり、トンネルの中を歩いたのはかなり記憶に残ってるわね。」
少し残念な記憶だ。
「修行みたいだったね。」
「ええ、無言で、騒音と戦いながら歩くというのは、修行というより拷問ね。」
まだ、あれくらいの距離だから耐えられたのかもしれない。
ふと、若い頃、信州に行く時に通った「恵那山トンネル」を思い出した。
運転免許を取ってまだ日が浅く、彼女と二人で、八ヶ岳に行った時の事だ。名古屋でレンタカー(ホンダ・シティ)を借りて、東名高速から小牧ジャンクションを抜けて中央道へ入り、眼前に迫る恵那山の下を抜けるトンネルを通る。8000mを越える長いトンネル。時速80㎞で走って6分ほど掛かる。眩いオレンジ色のナトリウムライトの中を走っていると、途轍もない圧迫感があった。免許を取って経験が少なかったことからか、同じような風景が長時間続いて、進んでいないような感覚になって、少し気持ち悪くなったのを思いだす。
免許を取って40年以上経った今は、さほど気にならないが、やはり、閉鎖された空間は苦手だ。いや、それ以上に、あのオレンジ色のナトリウムランプが苦手だったのかもしれない。最近は、ほとんどがLEDに変わっていて、昔とは比べ物にならないほどトンネルの中は明るく快適になりつつあるようだ。
「他には?」と訊いてみた。
「・・うんちくが・・うっとおしい・・かな。」
彼女は目を合わさず、缶ビールをグイっと飲んだ。

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