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9日目⑦おごと温泉 [琵琶湖てくてく物語]

「七本柳鳥居」に隣接する形で、坂本城址公園がある。
明智光秀の居城として有名になった場所だ。残念ながら、城址公園は、坂本城の外に当たる。本来の城があったところにはどこかの会社の研修所のような建物(現在は使われていない?)が建っている。古地図を見ると、本丸・天守は湖の中にあり、いわゆる浮城であったようだ。琵琶湖周辺の主な城は全て、浮城といっても過言ではないだろう。それだけ、琵琶湖の水運を重用し、防御にも活用したということだ。坂本城はその典型かもしれない。
江戸初期の古地図では、既に坂本城の姿はなく、その場所は「山王神輿船着場」となっていて、石垣だけが残った状態で描かれていた。
9日目⑦おごと温泉しばらく行くと、淡いパステルグリーンに塗られた歩道橋が見えた。そこから脇道に入る。昔の街道なのだろうか、静かな住宅地で、古い日本家屋が並んでいる。大きな玄関、弁柄塗の2階建て、滋賀県特有の家屋が並ぶ。低い石垣も残っている。更に、脇道があり、湖岸が見えたので入ってみる。突き当りに公園があった。公園を抜けてさらに先へ向かう。細い水路沿いの道を行くと、行き止まりになった。琵琶湖の突き出すような形、鳥のくちばしのような地形だ。その両側に新築の家が並んでいる。窓を開ければ目の前は琵琶湖というロケーションは羨ましい。駐車場の車はいずれも高級車だったので、恐らく、富裕層に近い人たちが住んでいると見た。
突き当りになったので、折り返す。旧道はまだ続いている。静かな住宅街を歩いていく。時々、商家だったのではと思うような家屋や、立派な石垣と塀で囲まれた家、もしかたら宿屋だったんじゃと思うような大きな2階建ての建物などもあった。いきなり田んぼに出てしまう。町並が終わった。
その先に工場。カネカ滋賀工場だった。大きな「安全最優先」の看板が見える。この辺りは歩道があり歩きやすい。
小さな川を渡る。
道路の右手には大きな樹が並んでいる。その中は、「琵琶湖流域下水道・湖西浄化センター」だ。琵琶湖の水質保全には欠かせない施設である。
ここは、毎年5月には訪れている。浄化センターの敷地内にはバラ園があるからだ。春のバラが開花すると一定期間、無料開放されている。休日は混むのでたいていは平日に行く。大津館イングリッシュガーデンのバラも素敵だと思うが、ここのバラはそれ以上に圧巻だ。浄化処理の過程で生まれる汚泥を肥料化し、それを土に入れているためか、大輪の花を咲かせている。種類も豊富で、毎年少しずつ花も変わっているように思う。
ここを過ぎるといよいよ「雄琴」だ。
ある程度の年配の方には、ドキッとする地名だろう。戦後ベビーブーム世代、いわゆる団塊世代が寝る間も惜しんで働き、かつてない好景気の中で、この地は日本有数の歓楽街となっていた。今でいう「風俗」の走りである。
しかし、実は、雄琴温泉とは無縁だった。歓楽街ができたのは、雄琴温泉の南側、鹿苗(のうか)の一角であったし、おごと温泉の湯は引かれていない。おそらく、どこかの3流週刊誌が面白がって報道して「雄琴温泉=歓楽街・風俗」というイメージが広まったのだろう。
本当の雄琴温泉は、最澄によって開かれたと伝わる1200年の歴史を持つ由緒ある温泉だ。2000年以降は、雄琴温泉は「おごと温泉」とひらがな表記に変えイメージアップを図っている。
滋賀へ初めて家族で訪れた時、おごと温泉の「湯元館」に宿泊した。宿泊した後に知ったことだが、「湯元館」はおごと温泉で最も古い旅館で1929年(昭和4年)創業だった。あと数年で創業100年を迎える。屋上にある露天風呂からの眺めは最高だった。妻や娘たちは、温泉の質が良いと言って大満足だった。滋賀に移住したので、観光で宿泊する必要はないのだが、友人が訪ねてきた時などに使ってみようと考えている。

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