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17.再生の可能性 [AC30第1部グランドジオ]

「ジオフロントにはEブロック・・エナジーブロックと呼ばれるところがある。ここには、ジオフロント全体のエナジーを生み出すコアエナジーユニットがあるんだ。地球には弱い磁場があって、それをエナジーに変える。・・ライフエリアの灯りとか、ビジョンとか・・とにかく、全ての機能を動かす力だ。」
キラがそう言うと、3D映像の中央部分が青く光った。
「こいつがそうだ。そして、ユニットの中心部にはカルディア・ストーンというのがある。これで地磁気を増幅している。それが突然粉砕してしまったんだ。それから徐々に、ジオフロントの機能が停止し始めた。そのために、先人類は滅びてしまったんだ。」
聞いていたハンクとプリムは、次々に知らされる事についていけず、ぽかんとした表情を浮かべている。
アランは少し苛立った様子でキラに問い詰める。
「ならば、どうして俺たち一族は生き残ったんだ?・・ライフエリアはどうして機能しているんだ?」
「それは私がお答えしましょう。」
そう言ったのは、ユービックの中のユリアだった。
「あなた方は選ばれし者の末裔なのです。ジオフロントが完成した時から、コアエナジーユニットの機能が停止する事は想定されていました。その時のために、人類は、遺伝子的に最も強い生命力を持った人たちを選抜していました。様々な人種から、できるだけ遺伝形質の遠い種族を選別し、さらに、病気や身体的な特徴、知力、精神力、あらゆる要素を取り入れて、1万人ほどを選抜していました。それは10年ごとに見直されてきました。選ばれし者たちだけは、ライフエリアで暮らす事が許されていました。ライフエリアは、大きなライブカプセルでした。だからこそ、ジオフロントとは別のエナジーシステムを持ち、数百年は確実に機能するものでした。ここは、人類の滅亡を防ぐための・・」
ユリアがそこまで話した時、キラが止めた。
「ユリア、もう良いよ。そうさ、僕たちは、選ばれし者の末裔なんだ。厳しい環境の中でも生き延びる力がある。先人類の希望を託された、そういう一族なんだ。」
その言葉に、アランは押し黙ってしまった。
「そうか・・選ばれし者か・・・・。」
ハンクが妙に感動したように言った。
「なあ、キラ、まだ判らないんだが・・・その・・うまく言えないんだが・・・禁断のエリアと卵・・ライブカプセルって言ったっけ?どういう関係があるんだ?」
プリムが素朴に訊いた。
キラは一つ大きく息を吸った。何か、決断するかのようなそんな仕草だった。
「ライフエリアも永遠ではないんだ。ジオフロントのエナジーシステムが停止した時の、緊急用のエナジーシステムで動いているに過ぎないんだ。・・これを見て欲しい。・・ユービック、エナジーグラフを見せてくれ。」
すると、大きなグラフが壁に映し出された。
「これがジオフロントのエナジーグラフ500年分だ。」
それを見ると、グリーンのグラフが200年ほどは高い状態で続いていた。その後、突然、グラフが消える。そこからは赤いグラフが見えるか見えないかの大きさで300年ほど続いていた。
「ここを拡大してくれ。」
キラが指差すと、赤いグラフだけに切り替わって拡大された。その赤いグラフは徐々に低くなってきているのが判る。最初の頃と比べて、この50年ほどは減少の幅が大きくなってきているようだった。
「緊急用エナジーシステムも限界にきている。あと10年で、ライフエリアのエナジーシステムが停止する。」
キラは思い切って言った。
しばらく、ハンクもプリムも驚きを隠せない。
「あと10年って・・そんな・・そうなったらどうなるんだ?」
「簡単な事さ。ここに居る皆が死ぬってことさ。いよいよ人類滅亡の時が来たということさ。」
アランが無感情に言った。
ハンクは顔面蒼白だった。プリムも同様だった。
「だが、そうならないための・・再生の方法があると思っているんだろう、キラ。・・・そうだ、あの卵が・・何か、関係があるんだろ?」
アランがキラに訊いた。

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