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23.ガウラの秘密 [AC30第1部グランドジオ]

キラはじっと口を閉ざしている。それを見てガウラが言う。
「わかったわ・・・私が話してあげる。・・・あなた、禁断のエリアへ入ったわね?あそこには、先人類の叡智が詰まってる。そう・・途轍もない強力な武器とか・ね。あなた、あそこに入ったでしょ。そして、武器を持って来たわね。・・・隠し事はしないで。別に、あなたを責めてるわけじゃないわ。・・・・お願いしたいことがあるのよ。」
ガウラはそう言うと机に向かうと、引き出しを開けた。そして中から板状のものを取り出した。ガウラが取り出したものは、ユービックだった。
「そ・・それは・・・。」
キラの反応に、ガウラが少し微笑んだ。
「これは、このホスピタルブロックを守る者に、代々引き継がれてきたもの。ユービックっていうらしいわ。」
そう言って、ユービックをそっと撫でて起動した。
「怪我や病気を治療するためには、高度な知識や技術が必要でしょ。だから、ホスピタルブロックを守る者はこれを引き継いできたの。ただし、一族のみんなには絶対に秘密よ。私は父からこれを引き継いだ。初めのころは、とにかく、病気や怪我の知識を得るためだけに使っていたけど・・どうしても、禁断のエリアの事が知りたくなってね。」
ガウラがどこまで禁断のエリアの事を調べたのか、ライフブロックの寿命の事も知っているのか、キラは心配げな表情を浮かべていたが、それを訊くことはできなかった。
「あなたも持ってるわよね・・・ユービックが教えてくれたわ・・・あなたが禁断のエリアに入り、ユービックを手にしたこと、そして、いくつか武器になるものを持ち帰ってきたこともね。・・マーキュリーっていう案内人は全てを知っているわ。」
「そうですか・・・。」
ガウラには全て知られていると判ったキラは全てを打ち明けた。
初めて、禁断のエリアに踏み入った時の驚き、ドラコを倒した様子や浜に打ちあがったライブカプセルの事、そして、禁断のエリアに入った経過や中の様子、そして、ジオフロントの寿命の事も包み隠さず、全て話した。
ジオフロントの寿命の事は、ガウラも知らなかった。
しばらく沈黙した後ガウラがもう一度確認するように訊いた。
「ここはあと10年しか使えないっていうのは本当の事なの?」
「ええ…ひょっとしたらもっと短いかも知れません。ユービックでも、予測が難しいようです。その日が来るまでに何とかしないと・・ここに居る全員が死ぬことになります。」
「助かる道はないの?」
「とにかく、エナジーシステムを修理して少しで診長く使える状態にする事しかありません。そのために、あのライブカプセルがきっと役に立つはずなんです。」
「そう・・・。」
ガウラは考え込んでしまった。
「あの・・ガウラさんの頼みたいことって・・一体、何ですか?」
キラは最初にガウラが言っていたことを思い出すように訊いた。
「ああ・・そのこと・・・そうね・・・。」
ガウラは少し躊躇いがちに言った。
「あなたも知ってると思うけど・・薬剤庫の中にあるものはもうそれほど多くないわ。この先、病気や怪我をした時、不足するものも出てくるわ。・・ユービックで調べたら、ジオフロントの中には、何カ所もホスピタルブロックがあったのよ。・・もし、そこへ行けるなら、薬を持ってきてもらいたいの。・・いえ・・・そこに一緒に行ってほしいのよ。」
ガウラの依頼は驚くべきことだった。
ガウラにとって、禁断のエリアは決して恐ろしいものではなかった。むしろ、頼るべき存在となっているのだ。ガウラはそう言った後で、ユービックでジオフロントの3D映像を映し出した。
「ほら、ここにジオフロントで最大のホスピタルブロックがあるの。きっとここならたくさんの薬が保管してあるに違いないわ。」
指示した場所は、ほぼ中央のコアエリアにあって、エナジーブロックと隣接した場所だった。

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