SSブログ

27.ライブカプセル [AC30第1部グランドジオ]

すぐに画面にガウラが現れた。
ハンクやアランは、キラの手のひらにあるユービックから、ガウラが現れたのを見て驚いた様子だった。
「どうしたの?誰か怪我をしたの?」
ガウラは突然のキラからの連絡に驚いた様子だった。
「いえ・・皆、無事です。・・ひとつ、教えてほしいんです。そこの医療機器の中で、何かロック解除するようなものはありますか?」
「ロック解除?」
「ええ・・使う前に・・何か鍵を使って開けるとか・・。」
ガウラは少し考えてから言った。
「診察台は、専用の小さなスティックの先端を、丸いセンサーに押し当てるようになってるわ。そうしないと、動かないの。・・手術の時のロボットも同じね。そのスティックは私がネックレスにして持ってるけど・・。」
ガウラはそう言って、襟元からスティックを取り出して見せた。
シルバーの金属体で斜めに青いラインが入っている。キラはそれをじっと見入ってから、はっと何か気づいたように言った。
「ガウラさん、ありがとう。また、連絡します。」
そう言ってユービックの通信を切った。
「アラン、ハンク!グラディウスだ。」
キラがそう言って、グラディウスを手にした。
グラディウスには、柄になる部分に青いラインが斜めに入っている。
「これがきっとライブカプセルを開けるキーだ。」
キラはそう言うと、グラディウスの柄を静かに卵の表面に当てる。しかし、何も反応しない。
「どこかに、何か反応するものがあるはずだ。」
ハンクもアランもキラと同じようにグラディウスの柄を優しく表面に当てる。
「どこだ!」
なかなか見つからなかった。
徐々に卵形の下の方へ近づくと、急にグラディウスが発光し始めた。初めての反応だった。
「よし、横にしよう!」
3人がライブカプセルを砂浜まで引きずり、どうにか横にする。
そして、再び、丹念に卵の表面にグラディウスの先端を当てて探し始める。
卵形の一番底の部分に、グラディウスの先端が使づいたとき、青白い光が輝き始めた。
「これだ!」
キラがグラディウスの柄をその部分に接触させる。
ブーンと少し鈍い音がし始めた。徐々に、ライブカプセルの色が黄色く変わっていく。
中央部分に小さな筋が入ったと思うと、ゆっくりとまるで花弁が開くように、殻のような部分が開き始めた。3人は二三歩後ずさりした。
ライブカプセルは、ゆっくりと開き、その殻は小さく変形していく。
半分ほど開くと、中が見えた。中は白い膜で覆われ、水のようなものが詰まっているように見えた。
「維持装置解除・蘇生システム起動シマス」
機械的な声が響くと、その白い膜がプチンと弾け、水に見えたものは白く気体に変わり始めた。まるで、氷が融けるようだった。周囲は一時白い霧で覆われ見えなくなった。
徐々に霧が消えると、そこに、膝を折り曲げ、両腕で抱え込む格好をした全裸の人間が横たわっていた。ちょうど、卵の黄身の部分のようだった。
少し赤く長い髪、肌は透き通るほどに白く、手足は華奢で、まだ幼子のように見えた。横顔を見ると、まだあどけない表情をしている。3人はしばらく言葉が出なかった。
一族の中にも多くの少女がいるが、まだ幼いにも関わらず、これほどまでに美しい少女は見たことがなかった。
「蘇生システム正常終了」
再び、機械的な声が響き、静かになった。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0