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7.ジオフロント発見 [AC30第2部カルディアストーン]

少し飛行高度を下げ、ゆっくりと進んでいく。PCXが周囲の虫の様子も探りながら、さらにゆっくりと進む。
「この辺りから先に2kmほどの空洞が確認できます。」
キラが見つけたきらりと光ったものの正体は判らないままだったが、とりあえず、地上に降りてみる事にした。
ゆっくりと虫の攻撃に注意しながら下りていく。足元に、青い湖が見えた。
「あの辺りには虫はいないようです。あそこに降りましょう。」
PCXが先導して降りていく。
周囲2㎞ほどの小さな湖の畔に二人は降りたった。周囲には豊かな緑の森があるのだが、湖の周囲だけは草も生えていなかった。
「やけに静かなところだな。」
アランが言う。
「ああ・・生き物は何もいないような感じだ。・・」
キラは少し周囲の様子に違和感を覚えながら答えた。
「一休みするか・・。」
アランは、湖の畔に腰を下ろした。
朝からずっと飛び続け、かなりの距離を移動した。途中、虫たちに襲われ、少々疲れていたのか、寝転がってしまった。
キラは、湖の水辺まで行ってみた。
目の前に、鮮やかなブルーの水面が広がっている。だが、やはり何か違和感がある。手を伸ばし、水に触れようともう一歩足を踏み出した時だった。ジューっと足が焼かれるような痛みが走った。慌てて、水面から離れた。足元を見ると、履いていた保護靴の一部が溶けている。
もう一度、慎重に水辺に近づいてみた。そして、グラディウスを取り出して、水面に触れる。バチッと音がしてグラディウスが弾け飛んだ。グラディウスの先端が変色している。
「PCX、この湖の水質を分析できるか?」
キラが言うと、PCXは体から光を発して水面に当てる。しばらくするとPCXが言った。
「硫化水素濃度が極めて高い水です。ガスが発生すると危険です。すぐにここを離れましょう。」
「やはりそうか。きっとあの火山の火口に一つなんだろう。すぐに移動しよう。」
キラはそう言うとすぐにアランに声を掛けた。だが、アランは疲れて眠ってしまったようだった。
「アラン、起きろ!ここは危険だ。すぐに移動するぞ。」
アランは飛び起きた。そして、すぐに支度を整え、上昇してその場を離れた。その直後だった。地響きがして、湖の水面が急に持ち上がり、爆発するように弾け、白いガスが立ち上った。そして、再び静かになる。間欠泉のように、地下に溜まった硫化ガスが噴き出したのだった。
「地面に降りるとガスが流れてくるかもしれません。あの崖の中腹に避難しましょう。」
PCXが先導して、切り立った崖の中腹のくぼみに避難した。下を見下ろすと、同じような小さな湖があちこちにあって、どれもブルーの水を湛えていた。
「地下の空洞っていうのは、火山の作った穴を見誤ったんじゃないのか?」
アランが少し不満げな口調でPCXに言った。
「いえ・・地下の空洞は人工的な形状でした。火山の作った穴ではありません。ちょうど、この真下辺りから山の中に広がっています。」
それを聞いて、キラが崖から少し身を乗り出して下を見た。そこには、銀色に光る人工物が見えた。
「アラン、あれを見ろ!」
キラが指差し、それをアランが見た。
「あれは・・扉だ。チャンバーの扉だ。ジオフロント全く一緒だ。あそこに、入り口があるぞ。PCX、間違いないだろ?」
PCXが一旦飛び上がり、銀色に光る扉を確認した。
「間違いありません。ジオフロントの扉と同型のものです。」
長い旅の中で、ようやく、別のジオフロントの入り口を見つけたのだった。
二人もすぐに、扉の場所まで下りて行った。
キラが山裾にきらりと光ったものを見たのは、この扉に太陽の光が反射したものに違いなかった。

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