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11.巨大な生命体 [AC30第2部カルディアストーン]

何か吠えるような低い音がジオフロントに響き渡った。
巨大なドラコだった。
大きな口を開けてキラたち目掛けて迫った。キラもアランも突然の事で、躱すのがやっとだった。勢い余って、巨大ドラコは口を開いたまま、反対側の壁に激突する。すぐに体勢を立て直し、二人を狙う。
飲み込まれなくとも、口から垂れる唾液に触れるだけで、体が麻痺し、命を落とすだろう。肩に着けたカニオンは、照明モードになっていて、すぐに攻撃できない。切り替えれば、光を失う。キラは、腰につけていたスクロペラムを抜き、迫るドラコに発射した。しかし、威力が小さく、小さな傷をつける程度にしかならない。
「アラン様、私が時間を稼ぎます。カニオンの準備をしてください。」
PCXはそう言うと、グラディウスの様な形状に変形した。そして、ドラコの胴体に繰り返し体当たりする。先端がわずかに、ドラコの胴体に突き刺さり、赤い血が周囲に飛び散った。ドラコは、首を回して、PCXを追い払おうとする。
キラも、微力とはいえ、傷をつけることで注意をそらすことができると考え、スクロペラムを発射する。
「目を狙ってください!」
PCXが攻撃を続け乍ら、叫ぶ。
キラは、スクロペラムでドラコの目を狙う。激しく動き回るドラコの眼に命中させるのは容易ではない。何度か発射したのち、見事に、ドラコの右目に命中した。さすがのドラコも視野を奪われ、一度動きが停まった。
「俺に任せろ!」
ようやく、カニオンの支度が出来た。
「頭部を狙ってください!」
PCXの言葉に頷いて、アランが狙いを定める。出力は最大になっていた。
「行くぞ!」
掛け声とともに、カニオンの発射口から、これまでで最大のレーザー光線が発射された。光りの束がドラコの眉間の位置に一直線に走る。ボスッと鈍い音とともに、ドラコの頭部は一瞬で消え去っていた。同時に、今まで暴れまわっていた太い胴体が一気に力を失い、ドーンという音とともに転がった。
「こんなでっかいドラコは、初めてだな・・・。」
アランが安堵した表情で言った。手にカニオンを抱えたままの姿勢だった。
「どうした、アラン?」
姿勢を変えないアランを不思議に思って、キラが訊いた。
「いや…それが…痺れて動けないんだ。…どうやら、フルパワーで発射したせいだろう。」
球体に戻ったPCXがアランに近づいて様子を見る。
「レーザー光線の発射の時に、強い電気が発生したのです。しばらくは、動けないでしょう。」
それを聞いて、アランが言った。
「俺は、しばらくここに居るさ。ドラコの死骸が転がっているんだから、ほかの虫たちは寄っては来ない。大丈夫だ。キラ、さあ、早くエナジーシステムを調べてきてくれ。」
キラはアランの様子が心配だったが、エナジーシステムを調べる事にした。
ドラコの死骸を乗り越えて、奥に向かうと、コアブロックを示す赤いフロアに着いた。
目の前に、小さな赤いドアがあった。
「あの奥にあるはずだ。」
キラはドアノブに手を掛け、ゆっくりと開いた。中は真っ暗だった。
肩に着けたカニオンのライトで照らすと、そこには巨大な半球形の装置が見えた。下半分は床の下に埋まっているのだろう。半球形の装置は静かだった。キラは、エナジーシステムを見るのは初めてだった。
「これがエナジーシステムか?」
半球形の装置の前で、キラが呟いた。
「いえ、これはエナジーシステムの保護装置です。この中に収められています。分厚い容器に守られているので、中の様子は判りません。ただ、外観に異常はありませんから、中も正常と考えられます。」
PCXは冷静に言った。

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