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14.カルディアストーン [AC30第2部カルディアストーン]

「あれがカルディアストーンか?」
キラが呟くと、PCXが言った。
「あの容器の中に収められているようです。カルディアストーン自体はそれほど大きくはないものです。」
そう言いながら、PCXがゆっくりと上昇して、容器の周囲を確認する。
「容器に損傷はありません。」
キラはアラミーラで上昇し、PCXの傍まで行った。すぐにPCXは中央の容器に移ると、カバーを開けようとする。ライブファイバーを器用に変形させて、容器のねじを一つずつ外していく。外カバーが外れると、もう一つ透明の容器があった。中に、六角柱の形状の棒状に成型された塊が見える。
「これがカルディアストーンか・・。」
「はい、そうです。」
両手に抱える程度の大きさだった。
「キラ様、どこかにこれを収めるための容器があるはずです。これが活きていれば、素手では触れません。持ち帰る為の容器を探しましょう。」
球形の部屋の中を丹念に調べた。壁の1か所に、反射板の周囲の色が違う場所があった。そっと押すと、反射板が開くと、中から円柱状の容器が出てきた。
キラはすぐに抜き出して、再びPCXのところへ行った。
「これか?」
「はい。間違いありません。お貸しください。」
PCXは腕状にライブファイバーを変形させて、キラから容器を受け取る。
「キラ様、下がっていてください。」
PCXはそう言うと、透明のカバーを外した。カルディアストーンは一瞬まばゆい光を発し始めた。PCXは慎重に腕を伸ばして、カルディアストーンを固定されていた場所から取り出す。光りは一層強くなる。キラは見ていられないほどの眩しさだった。しばらくすると光が収まり、カルディアストーンは筒状の容器に収まった。
「さあ、受け取ってください。」
PCXから筒状の容器を受け取る。すると、PCXが一気に落下して床に転がった。
「どうしたんだ!PCX」
床に転がったPCXは、赤や青の光を点滅させ、転がりまわった。キラは、なんとかPCXを抱え込んだ。すると、キラの体にびりびりとした電流が流れた。そのせいで、しばらく、キラも気を失って動けなくなってしまった。
「キラ様、大丈夫ですか?」
PCXの声でキラは目を覚ました。
「いったい何が起きたんだ?」
「カルディアストーンに直接触れたために、一時的に私の制御システムが混乱しました。」
「もう大丈夫なのか?」
「はい、もう回復しました。気を付けてください。地球の磁気から途轍もないエネルギーを生み出す物質なのです。容器に入っていなければ、危険です。それに、この部屋は、カルディアストーンの生み出すエナジーを、壁の反射板でさらに増幅させる設計になっています。今、特別な容器に入っていますが、どれほど安定しているか判りません。早く、外へ運びましょう。」
PCXは、カルディアストーンに関する情報を予想以上に持っているようだった。キラはその事に少し疑問を持ったが、危険を感じてすぐに運び出す事にした。
筒状の容器に収まったカルディアストーンは10㎏ほどの重量だった。キラは、容器をライブロープで背中に縛り付け、コアブロックを出た。
キラは、アランの亡くなった場所へ戻ると、遺品をリュックに詰め、PCXに持たせた。
「アラン、すまない。お前の命は無駄にしない。必ず、このカルディアストーンを持ち帰る。俺たちを守ってくれ。」
キラはそう言うと、出口へ向かった。
PCXは人型に変形し、アランの乗っていたアラミーラを使う事にした。今は一刻も早く、ジオフロントに戻ること、それだけしか頭になかった。それが、アランへの弔いになると考えていたのだった。

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