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27.ガウラとの再会 [AC30第2部カルディアストーン]

「ガウラさんはどうしたんですか?一緒に行ったんですか?」
キラが思い出したように訊いた。
「ガウラ?・・いや・・プリムたちとは一緒じゃなかったね。まさか・・あいつらに殺されたんじゃ・・。」
プリムの母が辛そうな表情で言う。すると他の女性が呟くように言った。
「いいえ・・確か・・少し前に・・禁断のエリアに行くと言って・・それきり姿を見ていないわ・・。」
「だが、あそこは真っ暗だったじゃないか。誰も居なかっただろう?殺されたのさ・・・」
プリムの母は、諦め顔で言う。
「PCX!ガウラが生きているなら、きっと、ユービックを持っているはずだ。通信してみてくれないか?」
キラが言うとすぐにPCXがガウラのユービックに通信を送った。
「返答はありませんが、確かに禁断のエリア・・それもコアブロックの辺りにユービックがあるようです。」
「すぐに行ってみよう。」
キラとPCXは、母たちをライフエリアに残して、禁断のエリアに向かった。
オーシャンフロントのPCXたちによる襲撃からすでに1ヶ月は過ぎている。その間、ガウラが一人でコアブロックに入ったままというのは余りに不自然だった。
ガウラの身に何か起きているのではないかと胸騒ぎを覚え、キラは通路を風のように走り抜け、真っ暗な禁断のエリアを迷うことなくコアブロックへ向かった。
「PCX!エリアキーパーのエリックと通信できないか?」
「はい。」
コアブロックに急ぎながら、PCXがエリックと通信する。
「ガウラ様と一緒の様です。」
それを聞いて、キラは少し安堵した。
キラとPCXはコアブロックの前に着いた。分厚い扉は閉じられたままだった。
「ガウラ様は、この中にエリアキーパーと一緒にいらっしゃるようです。」
キラは分厚い扉の脇にある小さな通用口のドアを開ける。中は真っ暗だった。PCXは照明を発したが、見上げるほどの広い空間が広がるコアブロックはほとんど暗闇と同じだった。
「ガウラー!」
キラの声が広い空間に響き渡る。しばらく待ってみたが返答はなかった。キラは周囲に注意を払いながら、ゆっくりとコアブロックに足を踏み入れる。カルディアストーンを発見したあのジオフロントには大きなドラコが巣食っていた。ここもどこかの裂け目から侵入しているかもしれなかった。そして、ガウラが襲われたのではないかとも考えていた。
中ほどまで来ると、コアブロックの中央部に大きな球体が見えた。エナジーシステムの心臓部だった。その大きさは、あのジオフロントとは比べ物にならないほど大きい。
「ガウラー!」
キラは再び名を呼んだ。ゴトリと音がした。そして、ギュルギュルと何かが床を移動してくる音がする。キラは咄嗟にグラディウスを構える。
「キラ様・・ですか?」
そう呼びかけたのは、エリックだった。エリックは姿を見ようとライトを照らした。
「エリック!そうさ、戻ってきたんだ!」
「ご無事でしたか・・・。」
「ガウラさんはどこだ?無事なのか?」
キラが問うと、エリックが向きを変え、キラを案内するようにエナジーシステムの方へ向かった。
「この中です。」
そこには、エナジーシステムへ降りる階段があった。
「ガウラ様!キラ様が戻られました。」
エリックの呼びかけに、暗闇からガウラが姿を見せた。
「キラ?本当にキラなの?」
「ああ。さっき戻ってきたんだ。・・カルディアストーンは見つかった。・・だが・・・。」
「良かった・・本当に戻ってきたのね・・良かった。」
ガウラはキラに飛びつき、強く抱きしめ、嗚咽を繰り返し、涙を流す。そして、そのまま、気を失ってしまった。


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