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9日目③湖水渡り [琵琶湖てくてく物語]

膳所城址を離れ、近江大橋のたもとに来る。
こんなところに港がある。同じ形の小舟がずらりと並んでいて、多くの船に「小林」の文字が入っている。道路の反対側に「小林貸船釣具店」があるので、ここに並んでいるのが貸船と判った。
琵琶湖の釣り船となれば、当然、バス釣り。
滋賀に移住して、やはり、バス釣りにはチャレンジしてみた。海釣りは経験あるのだが、バス釣りは未経験。さらに、ルアーも未経験。一通り、ガイドブックを読み、それなりの道具を揃え、何度かチャレンジしてみたが、まだ、釣れた事はない。妻の方が腕が良いのか、釣りに行くと何らかの釣果がある。無欲の勝利なのかもしれない。バスは調理してもおいしいと聞いた。琵琶湖博物館で、バスの天丼をいただいたことがあるが、結構美味しかった。もし釣れたら、蒲焼きにでもしたいと思っているのだが、まだ姿を拝めない。
近江大橋の下を抜けて、向こう側に出ると、そこは琵琶湖なぎさ公園。膳所城址までもなぎさ公園というらしいが、たいていの場合、この公園を指している。
春になると、近江大橋のたもと近くにある「八重桜」が見事に咲くので、何かのついでに立ち寄ることが多い。今は冬。桜も葉を落として、何の気か判らないくらいの状態だった。
ここからは暫く公園の中を歩いた。
なぎさ公園市民プラザという名前の小さな広場。梅の木が植えられていた。花はまだ咲いていなかった。そこから、目の前に琵琶湖プリンスホテルが見える。
琵琶湖の写真には、結構映り込んでいる、半円柱の高い建物。そこから、体育館やスポーツセンター、マンションが建ち並んでいる。ウォーターフロントというべき場所だ。
そう言えば、先日、大津のマンションが話題になっていた。石山駅前の工場跡地に1000邸を越えるマンションが建つらしい。大津は、京都や大阪に比べて価格が抑えられているのが魅力だそうで、JRで京都までは15分程度。京都市内に住んでいるより、便利なのかもしれない。確実に京都への通勤圏だし、周囲の商業施設も充実している。びわ湖の景観も楽しめる。その上価格が安ければ、滋賀県民になるという人も少なくないだろう。今歩いている辺りも、同様だ。
滋賀県芸術劇場びわ湖ホール、滋賀県立琵琶湖文化館、老人福祉センター、滋賀県警本部など、滋賀県の主要な施設が集中している。広い滋賀県の最も南のはずれにこうした施設が集中しているのは、何とも不思議な感じがする。
琵琶湖文化館の建つ場所は、「明智左馬之助湖水渡りのところ」と記されている。
NHK大河ドラマで、その存在を初めて知った。明智光秀が本能寺の変のあと、山崎の戦いで、秀吉に敗れて命を落としたと知った、左馬之助は安土から坂本城へ戻るが、途中で豊臣方の堀秀政軍と遭遇し、やむなく、琵琶湖を馬で渡ったという逸話がある場所である。
今の場所を見る限り、どういうことかは判らない。
本能寺の変が起きた頃、この辺りには葦が茂り、木々も多かっただろう。ここから、明智光秀の居城、坂本城までは僅かの距離。陸路には、堀秀政の軍が坂本城へ向けて進軍していたに違いない、その中を突っ切るのは無理と判断し、浅瀬を一気に馬で駆け抜けたのではないかと推察する。
我が家の前の萩の浜は、砂が堆積していて、かなり沖まで行っても腰ほどもないほどの浅瀬が広がっているので、岸から見た時、異様な場所に人が立っているように見えるところがある。そういう場所が、「湖水渡り」の湖岸にもあったとしたら、岸から見ると、まるで湖面を飛ぶ様に馬が走り抜けたように見えたのではないだろうか。また、主君亡きあと、坂本城に居る一族を守る忠臣として、後世に美化された形で伝えられた可能性もある。いずれにしても、歴史物語というのは、真実から離れ、庶民が語るに値する様な話に変わっていくのは常の事だ。で、なければ、こんなふうに逸話として残ってはいまい。
先を急ぐ。

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