SSブログ

3日目①木之本から長浜を目指す [琵琶湖てくてく物語]

さて、いよいよ3日目。11月・12月と月1ペースでやってきた。
年明け1月はいつ歩くか。悩んだあげく、正月休みを使って歩くことにした。
元旦には、いつものように、初日の出を拝んで、お節を食べ、のんびり過ごした。
そして、2日に歩き初めということにしたのだ。
前回、木之本まで歩いてしまったので、少し計画が前倒しになっている。今回は、木之本駅に車を置き、目指すのは長浜・豊公園。ざっと、25km程度だ。
元旦の夜、天気予報を見ると「雨のち晴れ」。なんとかなるだろうと決行した。
自宅から自家用車で木之本駅へ向かう。
うーむ、雨だ。冷たい雨だ。心が重い。
実は、琵琶湖東岸を歩く行程を見ていて、一番困ったのは、最寄りのJR駅がかなり絞られるということだった。湖岸から駅までの道のりが長いということは、それだけ湖岸を歩く距離が短くなる。実際の前進行程が短くなる。これでは10日間では歩き切れないかもしれない。木之本を出て、長浜までの行程を見ると、途中で断念することはむしろ厳しい。最寄り駅がないのだ。始めたら、確実に長浜駅に到着しなければならない。だが、雨。てくてく歩くには最悪の天候だ。
木之本駅に着くまで、運転しながら私はそんなことを繰り返し考えていた。
駅前の無料駐車場に着く。やっぱり雨だ。
「今更、考えたって、どうしようもないでしょ?」
妻が軽やかに言う。
いやいや、いつも、過去を振り返って愚痴愚痴言うのは君ではないか、と心の中で思いつつ、口には出さない。
こんな時のために、雨合羽を買っていた。車中で羽織り、外へ出る。寒い。正月から何でこんなことに・・とまだ、気持ちは沈んでいる。
それでも何とか出発した。駅を出て、前回の道に少し戻る。大音の橋のたもと、余呉川に沿って琵琶湖岸を目指した。この道は「さざなみ街道」と呼ぶらしい。
しばらく行くと、道路沿いに白い花を見つけた。樹の様子から、それは桜のようだった。おそらく、四季咲き桜だろう。少し気分が和らぐ。
少し進むと、不思議な場所がある。Googlemapでもその場所の不思議さが判る。
余呉川の西側には、賤ケ岳から連なる山地が伸びていて、南方向へ続いている。そして、木之本町西山方面の余呉川を遮るように山並みが東へ伸びていて、余呉川がそれを貫いている格好になっている。道路の左側は明らかに削られている。この辺り一帯が区画整理がすっかり終わっているところを見ると、この地域の大規模改修がされた時、この山も大きく削り取られたのではないかと推察する。もしかしたら、土地改良工事以前の余呉川はもっと違う場所にあったのではないか。
そんなことを考えているのは、やっぱり、冷たい雨のせいだ。
天気が良ければのんびり湖を目指しながら、妻とも会話を楽しみつつ足を運ぶはずだった。だが、冷たい雨は容赦なく降り続いていて、ついつい無口になってしまう。
そのまましばらく行くと、右手の山に「磯野山城址」の看板が見えた。
さざなみ街道からは、余呉川を越えた対岸にある。
木々が生い茂り、そこにそのような城址があるのか、入口さえも判らない。後で調べた事だが、ここは、1500年頃、磯野昌友によって築かれた山城とのこと。近世の城とは違い、ほぼ砦に近いもので、土塁や堀切などで敵を退けるような造りと城主の館があるくらいだったに違いない。城というと、近世の大きな天守閣を持つ者をイメージしがちだが、本来、戦に備えて領地を守る役割をもっていたはずで、山や島、ちょっとした高台を巧みに使って、領地領民を外敵から守るには、この磯野山城は格好の場所だったろう。
などと、想像を働かせて、更に、余呉川に沿って歩く。

nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー