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1日目④新旭から今津へ [琵琶湖てくてく物語]

さて、いよいよ、新旭町から今津町へ入る。
桜並木が終わる辺りは、「饗庭」という地域。
愛知県にも饗庭という地名があり、担当になったものの、何と読むのか判らなかった苦い想い出があった。
饗庭(あいば)とは、昔、宴を開く際に食材を確保する場所だったという事を聞いたことがある。愛知県西尾市吉良町饗庭では、信長や家康が狩りをした場所だったとか、それ以前からも猟場だったとも聞いた。ただ、ググってみると、「饗宴を開いた場所」という説明になっていて少し違いがある。
吉良町饗庭はとてもそういう場所ではないし、ここ、高島市新旭町饗庭もそんな場所とは思えない。まあ、今は、自衛隊の饗庭野演習場があるのですから、或る意味、「軍隊の饗宴の場所?」であるのかもしれないが・・。
地名というのはその意味を知るととても面白いことが見えてくる。
ここ、新旭町も、「新しい旭」ではなく、新儀村と饗庭村が合併して、新旭町という町名になった。饗庭村は、饗庭村・熊野本村・旭村・針江村・深溝村が合併してできたので、新儀村と旭村の名前の一部が残っているということになる。
何故、旭村の旭が残ったのかはよく判らないが、たぶん、その時の有力者のパワーバランスだったんだろう。
などという薀蓄を妻に披露し、途轍もなく、つまらない顔をされてしまった。

湖岸道路(風車街道)とバイパスが並んでいるところを過ぎると、湖岸に、少し大きめのログ風の建物が見えて来る。「水鳥観察センター」だ。
琵琶湖岸にはいくつかこうした観察センターがあるが、ここは、おそらく最も小さい。建物周辺の水辺には、木道の散策路が整備されているのだが、少々朽ち果てたところもあるので、外観だけでは、寂れているように見える。立ち寄る人がどれくらい居るのかと心配するほどだ。
でも、是非立ち寄ってもらいたい。それだけの魅力はある。
高島へ転居した年の冬、妻と二人で訪れた。水鳥に興味があるわけではなく、ただ、何となく立ち寄った。入口を入ると、右手は喫茶店(カフェ?)。左手が観察スペースだった。
窓際には、三脚に取り付けた双眼鏡が幾つも並んでいる。
気弱そうな職員が迎えてくれて、とにかく、窓際に置かれた双眼鏡を覗く。冬場は渡り鳥が多く種類も豊富だそうな。
先ほどの気弱そうな職員が、丁寧に優しく解説をしてくれる。バン、オオバン、カモ、シラサギ、ゴイサギ、鵜、等々、とにかく、双眼鏡で見つける水鳥を説明してくれて、意外と楽しい。
特に、琵琶湖の名物とも言える「カイツブリ」は面白い。小型の鳥で、さして綺麗な鳥でもないが、集団で湖を泳ぐ。そして、先頭の一羽が水に潜ると、つられる様に一斉に潜る。そして、予想もしないところで集団で現れる。しばし、その動きに見惚れてしまった。
「もうすぐ、ここにもコハクチョウが来ますよ。」と教えてくれた。コハクチョウは本格的な冬の訪れを教えてくれる鳥だ。コハクチョウというが、実際かなり大きい。
昨年冬にも、安曇川の田んぼで餌をあさるコハクチョウを見て来たが、とにかく、鳴き声が騒がしい。それに、飛び上がる時のジタバタ感も半端ない。ただ空を優雅に飛び回る姿は美しい。そして、滑空しながら降りて来るところは、さながら、航空機の着陸のように見える。
いやはや、随分、横道にそれてしまった。

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