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5日目⑤新海 [琵琶湖てくてく物語]

再び、さざなみ街道に合流。
この先は宅地分譲されたような場所だ。湖岸側に整然と家が並んでいるが、どうにも古い感じだ。中には朽ちそうなところもある。随分以前に別荘地で売り出したところなのかもしれない。住んでいる人はまばらの様子だ。
少し畑が続いたあと、ローソンの看板が見えた。
この辺りは、「新海町」というらしい。
高島へ移住する前に、この辺りの移住先も探してみた。しかし、不動産屋からは「あまりお勧めできませんよ」と言われたのを覚えている。理由は判らないが、確かに、生活するにはかなり不自由なところなのかもしれない。何しろ、周辺に量販店はない。
ふと、左手を見ると、集落が見える。
さきほどの薩摩町のように、古い家屋が並んでいる。地図を見ると、道路もかなり入り組んでいて狭いようだった。そして、石寺町のように、集落の周囲には水路が巡っていて、集落の中央辺りに報恩寺という寺もある。この辺りの古い集落の一つの特徴かもしれない。
私の住んでいる高島市永田も同じように、安土時代に形成された大溝城下の古い地域には、水路を巧みに使った集落がある。
防御や防火、生活用水の確保など多様な役割を持った水路は生活インフラの基本だったのだろう。そういう暮らしを皆の協力で支えあう暮らしが長く続いていたはずだ。
だが、一方で、そういう集落だからこそ、新参者は受け入れてもらえない。新しい価値観を持ち込むことを極力嫌う保守的な文化がある。伝統を重んじることは大事だと思うが、固執する事で失うことも多いということも考えるべき。
高島市は人口減少に苦しんでいる。年間250人から300人程の人口減少が続いている。
市の財政はひっ迫し、インフラの保守整備もままならない。国は子育て支援策の充実を進め、人口減少に歯止めをかけようとしているが、高島市はすでに段階を超え、10年もすれば、他市との合併を考えなくては立ち行かなくなるのではと心配している。
地域の小集落は限界を迎えており、それでも伝統を守ろうと必死だ。神社や寺も財政難で苦しんでいる。・・ちょっと暗い話になったのでこれくらいで本筋に戻る。

ローソンを過ぎたところで、さざなみ街道から離れ、湖岸沿いの狭い道を進むことにした。実は、さざなみ街道を歩いている時、どうしても道路を走るトラックの騒音が気になったのだ。単調な道を歩いていると変なところが気になる。街中なら、車の騒音と新道なんてあって当たり前なのだが、これほど静かで単調な空間にいると感覚も変わってくる。
湖岸の道は、「湖の辺の道」というらしい。
突然大きな建物が見えた。琵琶湖コンファレンスセンターというらしい。それを過ぎると、住宅地らしいところに出た。ログハウスやテニスコート、研修所などもあるので、別荘地なのかもしれないと思い、地図を見ると、行く先には「新海浜水泳場」があった。今は冬なので人影はなく、寂れているようにも見える。
これ以上進んでも行き止まりだと判って、手前を左折してさざなみ街道に向かう。いや、失敗した。ここは大きな住宅地。すぐにさざなみ街道には出られない。住宅地の中の道をぐるりと回り込んで何とか出る事ができた。
何だか随分疲れてしまった。
湖岸を歩くのは、今回はここまでと決めた。さあ、最寄りのJR駅まで戻ろう。

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