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4日目、③彦根に入る [琵琶湖てくてく物語]

天野川を越えて、朝妻地区へ入る。湖岸が整備されて綺麗だった。
少し北西風が強くなる。
緑地が無くなって、湖岸の岸壁に波が打ち付ける。前方を見ると、歩道が濡れている。どんどん波が高くなっていくようで、時折、打ち付けた波が砕けて風に乗って、水滴が雨のように降ってくる。
冬場に、北西風が強く吹くのは当然だが、高島に住んでいると、北西風は陸地から琵琶湖へ向かうため、波が岸辺に打ち付けることはない。高い波を見ることは少ない。ここはその逆だ。琵琶湖を渡る北西風が波を起こし、岸に打ち付ける。東と西では同じ季節でも感じ方は大いに違う。残念なことに、北西風のせいで、湖面を漂うゴミが岸辺に寄ってきて景観を損ねている。特に、この周辺は遮るものがないので、ゴミが漂い集まってくるのがよく判る。
滋賀県民は、琵琶湖をマザーレイクと呼んで大切にしているようなので、こうしたごみの類は、おそらく観光客が出したものだと思う。
高島にも湖岸に幾つもキャンプ場があり、夏だけでなく年間通じて開いているキャンプ場もある。こうしたところで出るごみが湖面を漂ってくるに違いない。
実際、私の住んでいる地区では、土日キャンプ客が多い時は、月曜日の朝、地区のゴミ集積場に不法投棄が絶えない。分別されていないゴミ、キャンプで使用した調理器具の廃棄、中身が残ったままの飲料のペットや缶類が放置される。道路にもこうした者が転がっていることが少なくない。勿論、大半の観光客・キャンプ客はきちんとごみを処理しているのだと思うが、一部の心ない輩によって、こうした事態を招いている。161バイパスを走っていても、タバコのポイ捨てとか、ゴミの放り投げ等を見かけることはある。マナーの悪い人間が少なからずいるのは明らか。
昔は、若者がと言われてきたが、そんなことはない。先日見かけたのは、シルバーマークを貼った軽トラックの高齢者ドライバー。コンビニで缶ビールを買い込み、軽トラに乗り込むといきなり缶を開けて飲み始め、空き缶をポイとその場に捨てて走り去った。飲酒運転とゴミの不法投棄。おそらく彼には日常的なことなのだろうと思われた。マナー・ルール違反は、世代とは関係ない。つまらない話になってしまった。
風に舞う水しぶきから逃げるように歩みを進める。
入江橋を越える。
ここに「干拓資料館」がある。
古地図を見ると、ここにはかつて「入江湖」という内湖があり、南側の彦根城近くにも「松原湖」という内湖があったことが判る。
「入江湖」はこの入江橋から米原駅までの広い範囲であったようだ。東海道線が大きく湾曲し山側に向かっているのは、鉄道が敷かれた当時、まだ、入江湖があったことを示している。昭和の干拓事業で入江湖は全て埋まり、広大な農地になったという。干拓事業の最中、この「入江湖」周辺には縄文時代から平安時代までの遺跡・遺物が出土したとあり、水辺の恵みで豊かだったことが想像できる。入江湖だったところが判るのは、入江地区をぐるりと取り巻くように流れている水路である。水路の内側が全て干拓されたエリア。低地のため、水路にはあちこちに揚水場(機)が設置されている。
歩いてみて初めて判ることは多い。

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