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8日目⑤急がば回れ [琵琶湖てくてく物語]

そこを過ぎると、目の前に異様な建物が見えた。
広大な土地の中に、円形の建物や傾斜屋根の競技場のような建物、綺麗に整備された庭や植え込みがある。「岡田茂吉研究所」の文字が門に掲げられていた。
岡田茂吉が如何なる人かはまったく知らなかったが、MOAと聞き理解した。
昔、自然農法を推進する団体に「MOA」という名前を聞いたことがあり、農業の手法というよりも、ある種信仰に近い考え方であったのを思い出した。
ネットで検索すると、ここの施設は、異様な宗教法人であることを強く訴えている記事があった。さらに、この宗教法人は、岡田茂吉とはほとんど絶縁状態になっているとも書かれていた。
私自身、そうした新興宗教のようなものには直接触れた事はないので、評論できる資格はないと思っている。ただ、自らを神、あるいは神の申し子と称して、人の弱みに付け込んで私利私欲に走り、大きな財を成しているようなところは、この社会から抹殺してもらいたいと思っている。
ここの「岡田茂吉研究所」がどういう団体かは知らないし、知ろうとも思わない。ただ、これだけの建物と敷地を持つということは、かなりの財力と維持するための費用が必要であり、そのためにどういう事業収入があるのかを想像すると、とても、まっとうなものとは言い難いと思う。この施設があることによって、暮らしを脅かされる人がいるなら、悪としか言いようがないと思うのだが・・。
私の祖母も一時、ある宗教団体の会員になったことがある。義祖父が病に倒れたのがきっかけだった。学びと修行を積むことで家から不幸を追い出せると言い出し、創始者の著作物を買い込み、毎週のように集会へ行き、挙句の果てに孫である私までも巻き込もうとした。見かねた両親が祖母と絶縁し、初めに、誘った知人を訴えたらしい。その後、祖母は改心し、あれだけのめり込んでいた団体を信者だと判ると徹底的に説得して脱会させていた。その団体は今でも存在し、政治の世界でも幅を利かせているのが不思議だ。政教分離をもっと明確にやるべきだと思う。
いや、むしろ、政治と宗教は持ちつ持たれつの関係なのかもしれない。そういう構図を信奉する政治家たちには早く退場してもらいたいものだ。
こういう話は気が滅入るのでこの辺りで止めておきたい。
そこを過ぎると、矢橋帰帆島に入る。
名前の由来は、白い帆を広げた船が琵琶湖に浮かび、矢橋港に近づき帆をたたむ。その情景「矢橋帰帆」が近江八景として名づけられたようだ。
もともとは、矢橋港があった場所を埋め立てて、人工島としたようだ。
「急がば回れ」の諺の語源ともなった場所。室町時代の連歌師・宗長の歌「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋(唐橋)」からきているとか。
それほどに、この矢橋、いや琵琶湖は、水上交通が盛んでありながら、冬の北西風(比叡山からの吹き下ろし、比良山の吹き下ろし等)が強くて、当時の帆船では、転覆の危険性が高かったということらしい。
夏場も、琵琶湖では、朝・夕には強い風が吹く。静かだと思っても、場所によっては高い波も立つ。厄介なのは、海と違って、波の方向がバラバラだということ。海は基本的に波が沖から海岸に向かって寄せる。ぐるりと岸が囲む湖の場合、どこから波が来るかは予測がつかない。
実際、カヌー遊びをしている小生も、家の前の「萩の浜」に波がなくても、少し南の大溝港前で強い横波をうけたり、白髭神社辺りでは比良山周辺の風が巻いて強い波を受けた事もある。普段は凪状態の湖も一度波が立ち始めるとなかなか収まらない。
おそらく、室町時代の帆船を操っていた人々も波を読むのには苦労したに違いないと思う。だからこそ、船が出るのを待っているより、瀬田の唐橋を回る方が確実に京へ向えたのだ。

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